今回紹介する映画は ゾディアック
アメリカ製作 2007年公開 監督はデビッド・フィンチャー
原題:Zodiac
デビッド・フィンチャー監督
私が初めて観たデビッド・フィンチャーの作品は、彼の監督デビュー作「エイリアン3」でした。
エイリアン・シリーズと言えば、シガニー・ウィーバー演じるリプリーとエイリアンとの死闘を描いた作品で、歴代の監督もリドリー・スコット、ジェームズ・キャメロンとハリウッドを代表する監督がメガホンを撮っていました。
話題作エイリアン・シリーズがデビュー作とは…フィンチャー監督の凄さが分かる気がします。
しかし、エイリアン3の評価は…当時はあまり高くなくデビッドフィンチャーにとっては、ほろ苦い監督デビューだったようです。
正直、私も映画館で観ましたが、期待外れだった覚えがあります…
とは言え、デビュー作でもデビッド・フィンチャーの撮影技術はかなり高く、監督独特の色彩を抑えた映像、カメラワークでエイリアンから逃げ惑う恐怖を観客にも体感させる趣向など、既に完成度の高い作品だったと思います。
多分…前作までの作品のイメージを刷新し過ぎたため、ファンの期待と違った作品になったんだと思います。
時代が追い付ていなかった…なんちゃって
その後「セブン」で監督の知名度は一気に上がります!
そして、「ファイトクラブ」「ベンジャミンバトン 数奇な人生」「ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」等々…次々とヒット作品を生み出しメジャー監督へと伸し上がっていきました。
そして、2020年公開「マンク」では、ゲーリー・オールドマンとタッグを組み、1941年の映画「市民ケーン」の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツを主人公にハリウッドの光と影を描いた作品が公開されます。
また、脚本家は監督の父親ジャック・フィンチャーで、彼の遺稿作品でもありました。
5年という歳月をかけて作り上げられた「ゾディアック」
そんな鬼才デビッド・フィンチャー監督が、アメリカで実際に起こった未解決事件の真相を追ったロバート・グレイスミスによるノンフィクション小説「ゾディアック」を映像化。
ゾディアック事件:1968年から1974年にかけて、カリフォルニア州サンフランシスコ市内で若いカップルを中心に少なくとも5名が殺害された。
犯行後に警察やマスコミへ多量の犯行声明文を送りつけたことから、「劇場型犯罪」の一つとして有名である。アメリカでも特に有名な未解決殺人事件として知られ、現在に至るまで真犯人についての証言や主張が多く寄せられている。
1986年、ロバート・グレイスミスが事件について独自の調査を行った『Zodiac』という本を出版した。彼はサンフランシスコ・クロニクル(犯行声明文が送られた新聞社の一つ)に風刺漫画家として在籍しているときに、事件に遭遇し、関心を持っていたためである。
(引用先:Wikipedia)
監督自身も事件を1から調べたそうです。
このゾディアック事件の殺害シーンはフィンチャー監督にしては極めて抑えめになっています。
それは、事件を担当した警察関係者、新聞記者達の人間模様により焦点が当てる狙いがあったのではないでしょうか。
フィンチャー監督が迫るゾディアックの正体とは…
キャスト紹介
ロバート・グレイスミス:ジェイク・ギレンホール
デイブ・トースキー: マーク・ラファロ
ポール・エイヴリー: ロバート・ダウニー・Jr
アーサー・リー・アレン:ジョン・キャロル・リンチ
メラニー:クロエ・セヴィニー
ジャック・マラナックス巡査部長: イライアス・コティーズ
ケン・ナーロウ警部:ドナル・ローグ、
ゾディアック あらすじ
未解決の無差別連続殺人を追い続けた男達の執念
1969年7月4日 バレーホで若いカップルがウェスタン社製ルガーで襲われる事件が起こります。
そして、警察に犯人らしき男から犯行を自供する電話がありました…
その4週間後、サンフランシスコ 新聞社クロニクル編集部に脅迫文が届きます。
脅迫文には、去年のクリスマスと7月にバレーホで起こったカップル殺人事件の犯人と名乗る男から送られたものでした。
そして、脅迫文の中には大量殺人を仄めかす箇所がありました。
編集会議で、他社を出し抜くチャンスだと捉える意見や、犯罪者には屈するわけにはいかないと、様々な意見が飛び交いました。
脅迫文の真偽をバレーホ警察署に確認したところ、その内容に間違いありませんでした。
そして、脅迫文は他にもバレーホ・タイムズ紙、サンフランシスコのエグザミナー紙にも送られていた事が分かります。
最終的な社長の決定は、1面掲載は避け、4面へ差し替えるというものでした。
そして…8月1日
結局、大量殺人事件は起きませんでした…
そして、暗号文の解読は海軍情報センター、サンフランシスコFBI支局、ラングレーCIA本部で進めていましたが、解読したのはサリーナスに住む歴史教師のハーデン夫妻でした。
3日後、その解読文がクロニクル紙のポール・エイブリーに届きます。
ゾディアックの暗号文には、死後の自分が被害者達を奴隷にする為、殺人を行っていると狂気的な内容が書かれていました。
しかし、犯人の名前は明かされないままでした。
その後、2通目の手紙が編集長宛に届きます。
その手紙には、ゾディアックと名乗ってありました…
- それから1ヶ月半後、ナパ 9月27日 若いカップルが被害に合い女性が死亡。
- サンフランシスコ 10月11日 タクシー運転手が背後から射殺されます。
ゾディアックによる新たな連続殺人事件が起こってしまいます…
卑劣な犯人からの犯行声明文に翻弄される社会…
ゾディアックの正体とは…
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます。
ストーリーに出てきた映画館のシーンで、クリント・イーストウッド主演「ダーティハリー」のポスターが出てきますが、
ダーティハリーこそが、ゾディアック事件をモデルにして製作され大ヒットした作品でした!
このゾディアックは、何度も映像化されている劇場型犯罪として有名な事件なのです。
また、フィンチャー監督と製作陣は膨大な資料をかき集め、事件を1から調べ直し、事件関係者にインタビューを敢行、撮影中には新たな証拠を見つけて警察に提出したという逸話つきです。
その為か、ストリーは劇場型事件よりも捜査関係者の苦悩や絶望感、新聞記者のポール・エイブリーの人生の凋落などの人間模様をより描いていました。
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誰もが諦めていた中で、ジェイク・ギレンホール演じるロバート・グレイスミスは「犯人を知りたい」「誰もやらないから自分がやる」と身の危険を感じながらも事件を調べ続け本の執筆に至りました。
現在このゾディアック事件の第1人者は、風刺漫画家のグレイスミスなのです。
犯人を知りたいという好奇心だけで凄い執念ですね。
この事件の被疑者は5名が有力視されています。 最有力視されていたアーサー・リー・アレンは後に唾液のDNA鑑定で無罪と断定されています。 5人の中ではアール・ヴァン・ベスト・ジュニアが最有力視されています。
もし、科学捜査技術が発展した現在にゾディアック事件が起きていたら…
当時の筆跡鑑定や警察のヒューマンエラー等捜査の限界を浮き彫りに描かれており、容疑者を特定しながら最終的に逮捕まで辿り着けないもどかしさ…
関係者にとって無念の残る事件ではないでしょうか。
勝手に推理してみました
しかしアーサー・リー・アレンは、後に無罪と断定されています。アレンが逮捕されていれば冤罪となっていました。
…と考えると当時の司法省の判断は正しいかったと言わざるおえません。
グレイスミスが調査を進める中で、各警察署間の縦割りによる弊害がとても大きかったことが、残念でなりませんね
では、推理に入りたいと思います
- 1969年7月4日 バレーホで起こったカップル襲撃事件でダーリーンを殺害した犯人は、アーサー・リー・アレンでした。
- ゾディアックと名乗って脅迫文を送り付けたのは別の誰か。
- 作中でも触れていましたが、ゾディアック自身は起こった事件を選んで新聞社に脅迫文を送っていただけの愉快犯で連続殺人鬼ではなかった。
皆さんはどう推理しますか?
そして現在もゾディアック事件は未解決のままになっています…