今回紹介する映画は メイジーの瞳
メイジーの瞳 解説
2014年公開アメリカ製作(原題:What Maisie Knew)
監督:スコット・マクギー&デヴィッド・シーゲル
原作:米英文学の代表的小説家ヘンリー・ジェームズの1982年出版「メイジーが知ったこと」
何と、原作のメイジーはもっと悲惨なのです。
その為でしょうか…
当初、マクギー監督とシーゲル監督は、原作よりもライトな脚本でも不安を感じたそうです。
しかし、彼らはジュリアン・ムーアが作品に興味を持っている事を知ると彼女と対話、
その後に監督を引き受けたそうです。
“映画陣なら誰でも1度は仕事がしたいと思う特別な女優”ジュリアン・ムーア!
彼女がいなかったらこの作品は製作されていなかったかも…
また、 ルーシー・シュワルツの歌うテーマ曲“Feeling of Being “彼女の歌声が健気なメイジーのイメージにピッタリで素敵な曲です。
音楽も一緒にお楽しみください。
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キャスト紹介
6歳のメイジーを演じたオナタ・アプリールちゃん。チョット寂しげな瞳とあどけなさが残る子供らしさがメイジー役にドンピシャでした。
シーゲル監督もメイジーの必要な要素を全て持っていたと、彼女を絶賛しています。
そんなオナタちゃんは、共演したアレクサンダー・スカルスゴードとも撮影時にとても懐いて「私は彼の腕にぶら下がるのが好きだった」「彼はジャングルジムです!」と子供らしい一面ものぞかせていたそうです。
また、彼女の祖母が日本人で鎌倉に住んでいた事もあるそうで、日本とのゆかりもありました。
スザンナ:ジュリアン・ムーア
メイジーの母親でロック歌手。メイジーを愛しながらも仕事と育児の両立が出来ず、夫ビールとケンカばかりしてしまいます。
リンカーンとの再婚は、ベビーシッターをして欲しかっただけのようですが、メイジーがリンカーンに懐くと嫉妬心を感じリンカーンに辛辣な態度を取ります。
リンカーン:アレクサンダー・スカルスゴード
スザンナの再婚相手のバーテンダー。スザンナの身勝手さに我慢しながら、メイジーの世話をしてくれます。優しいリンカーンにメイジーは懐きます。
メイジー:オナタ・アプリール
主人公の6歳の少女。忙しい両親は、留守がちで一緒の時はケンカばかりしています。どんな状況になってもそれを受入れ柔軟に対応できるスーパーガール。
マーゴ:ジョアンナ・ヴァンダーハム
メイジーのベビーシッター。ビールの後妻。ビールと結婚後もメイジーの世話をしてくれますが、ビールは相変わらず留守がちで、その身勝手さに不満を募らせていきます。
ビール:スティーブ・クーガン
メイジーの父親。美術商の仕事をしています。仕事を理由に留守がちで、家にいる時はスザンナと言い争いばかりしています。メイジーへの関心は希薄で再婚後も育児はマーゴへ押し付けます。
あらすじ
家庭の崩壊
6歳のメイジーの両親は、日常的に激しい言い争いを繰り返していました。
2人はメイジーの事を気にかける事はありません。
ベビーシッターのマーゴがいる時は、2人でゲームをしたりピザを食べたり過ごせますが、マーゴがいない時は、ピーナッツサンドとポテトチップス等で1人で食事を済ませ眠りにつきます。
そんな両親は、いよいよ離婚をすることになりました。
しかし、2人はメイジーの親権をめぐって再び争い始めます。
ある日、裁判所で父のビールとマーゴが楽しそうに会話しているところを見かけます。
その後に下った裁判所の決定は共同親権でした。
そのため、メイジーは両親の間を10日間ごとに行き来することに…
そして、メイジーがビールのアパートを訪れるとベビーシッターだったマーゴが出迎えます。
何と!ピールはスザンナと別居後、マーゴと再婚していたのです。
その日、スザンナからメイジー宛の花束が届きます。
しかし、ビールはメイジーに内緒で勝手に捨ててしまいました。
こっそりと一部始終を見ていたメイジーは、ビールが留守の隙に花束を拾い自分の部屋のクローゼットに隠します。
ところが、隠した花束はマーゴに見つかってしまいました。
始めは誤魔化していたメイジーですが
「ママからなの」と打ち明けます。
その様子を見てマーゴは「花瓶に入れないと」と優しく言いました。
「パパが捨てたの…アレルギーなの」
メイジーはうそをつきます。
マーゴは、ピールに遠慮しているメイジーの気持ちを察していました。
「押し花にしましょう。永遠にとっておけるわ」
とメイジーに優しく言います。
そして、2人は仲良く押し花を作り始めました。
身勝手な大人達
メイジーを迎えに来たスザンナは、ビールとマーゴが再婚した事を知って激怒します。
そして、単独親権に変更するように弁護士に電話をする始末。
しかし、裁判所の決定は簡単には覆りませんでした。
ある日、メイジーは学校で帰りのお迎えを待っていました。
しかし、スザンナは一向に来る気配がありません。
仕方無く校長が何度もスザンナへ電話を掛けています。
するとそこへ、新婚旅行へ出かける直前のマーゴが突然現れると、
続けて見知らぬ若い男が「スザンナさんの娘さんを迎えに」と学校に入ってきました。
「どなた?」とマーゴに聞かれた男は「継父です。僕はリンカーン。覚えてる?数週間前に会ったよ。忘れた?」とメイジーに話しかけます。
しかし、突然現れた見知らぬリンカーンにメイジーを預ける訳はなく
結局、3人で学校を出る事になります。
仕方なく、リンカーンはスザンナに電話を掛けてマーゴに身分の確認をさせます。
だからと言って、メイジーはリンカーンと行く事を嫌がりました。
しかし、マーゴには飛行機の時間が迫っています「大丈夫よ」と必死でメイジーをなだめます。
そして、彼女はタクシーに乗りメイジーを残して行ってしまいました。
残されたメイジーは、諦めてリンカーンと手をつなぎスザンナのアパートへ向かいます。
10日後にマーゴが迎えに来るまでの間、メイジーはスザンナとリンカーンと一緒に過ごすのでした。
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勝手に私見考察
多様な家族の在り方を描いた【メイジーの瞳】
身勝手な親に振り回されながらも、その環境の中で素直に明るく生きていくメイジー。
「あなたを愛してる」と何度も言うスザンナは、母親失格だと承知しながらも、逆にメイジーに必死で縋っているようにも感じました。
母親の立場から見れば、何でこんなに計画性が無く行き当たりバッタリなの~と言いたくもなりますが…
メイジーは、自分の意思をハッキリと言葉で伝えません。【メイジーの瞳】で訴えているのです。
そして、今までメイジーの気持ちに無関心だったスザンナは、最後になって初めてメイジーの気持ちを尊重して彼女の元を去って行きます。
そうです!だからと言ってスザンナは、自分の生き方を変えてまで娘には寄り添いませんでした。
また、父親のビールは自らメイジーを捨て、裁判所の決定も無視して英国へ1人で行ってしまいます。
しかし、メイジーは、そんな父親を憎む事さえしませんでした。
まだ6歳の少女は、身勝手な大人を見捨て新しい家族と生きていく決断をしたのです
既にサバイバル術を身に着けているスーパーガールにしか見えませんでした。