今回紹介する映画は オーダー
概要
2024年に公開されたカナダ制作の犯罪スリラー作品
監督:ジャスティン・カーゼル 脚本:ザック・ベイリン
この作品は、第81回ヴェネツィア国際映画祭で世界初公開され、同映画祭で金獅子賞を競った。
原題: The Order (秩序)
上映時間:116分
原作:ケヴィン・フリンとゲイリー・ゲルハルトの
1989年発表のノンフィクション『The Silent Brotherhood』
また、この作品は米国の大統領選に影響を与えるともみられるプロパガンダ要素もある。
トランプは白人至上主義者だ~と言いたいのだろう
ターナーの日記とは
この事件の鍵となる『ターナーの日記』とは、
白人至上主義団体ナショナル・アライアンスの創設者で
会長のウィリアム・ルーサー・ピアースが
アンドリュー・マクドナルドのペンネームで1978年に出版した小説。
この小説は多方面に渡り影響を与える事となったが、
テロリズム分析家からは、
「 『ターナーの日記』ほど、米国の暴力的な極右過激主義に広範かつ持続的な影響を与えた本はない」と
非難的コメントを受けた。
ところが…何と!この〇ガイ小説は、2001年時点で推定30万部を売り上げてしまっている。
オーダーと呼ばれるグループによって引き起こされた、アメリカ合衆国の暴力的な革命を描いた物語。この組織は、連邦政府の転覆、核戦争、そして最終的には人種戦争を起こし、世界中で非白人とユダヤ人の組織的絶滅につながります。「人種の裏切り者」と見なされた白人は、最終的に「ロープの日」と呼ばれる大量処刑で絞首刑に処されます。この小説は、フレームストーリーで描かれ、平均的なメンバーであるアール・ターナーの歴史的日記として物語を提示し、小説の出来事から1世紀後の歴史的メモを添えています。
出典:ターナーの日記
この偏った思想の小説は、実際に多くのテロ事件の引き金となってしまった。
- 1984年 アラン・バーグ暗殺
- 1995年 オクラホマシティ爆破事件
- 1999年 ロンドン釘爆弾事件
また、恐ろしいことに、200件以上の殺人事件の犯人に影響を与えたと推定されている。
責任取りなさいよ~まったく
キャスト紹介
この作品で共演4作目となるニコラス・ホルトとタイ・シェリダン
友人同士でもある2人は、今回初めて追う役と追われる役を演じ、
また、シェリダンは初の父親役にも挑戦している。
この2人の若手に対し、ジュード・ロウの重厚な演技がより際立っている!
子役から活躍していた2人の出世作をこちら↓で紹介しています


テリー・ハスク/ジュード・ロウ | クー・クラックス・クランやラ・コーザ・ノストラの捜査に携わったベテランのFBI捜査官 |
ボブ・マシューズ/ニコラス・ホルト | アメリカのネオナチテロリストで 白人至上主義過激派グループオーダーのリーダー |
ジェイミー・ボーエン/タイ・シェリダン | 保安官代理 正義感が強くハスクの捜査に協力する |
ジョアン・カーニー/ジャーニー・スモレット | FBI捜査官 ハスクの協力者 |
デビー・マシューズ/アリソン・オリバー | ボブの妻 |
アラン・バーグ/マーク・マロン | ユダヤ人のラジオ司会者 |
あらすじ
『キリスト教徒の赤ん坊の血を
ユダヤ人が何に使うって?』
『礼拝さ 儀式やディナーで世界征服を祈るんだ』
『ディナーで?』
1983年 デンバー
KOスタジオで
ユダヤ人DJアラン・バーグはいつものように視聴者との
対決的なインタビュースタイルで激論を交わしていた。
『キリスト教徒の血を飲み物として出すのか?
それとも 料理にかけるソースとして?
初耳だ 教えてくれ』
『からかってるのか?』
『まさか 世界征服のやり方を知りたいだけだ』
『質問に答えてるのに バカにする気か クソユダヤ』
『じゃ話は終わりだな
今日は反ユダヤの人だらけ
過激で偏見に満ちたゴミ意見をどうも
原理主義者には同意できない カトリックであれ正統派であれKKKであれだ
当事者は気づいてもいないが 共通点がある
世間でうまくやっていく能力がないのだ
彼らに残された唯一の手段は
他人の楽しみを奪うこと』
アランは激論を終えると視聴者に訴えかけた…
実話に基づく物語
真夜中の山道
1台の車が走行していた。
カーラジオからは、
ユダヤ人DJアラン・バーグのトーク番組が流れている。
『我々は大国にいながら 狭い考えにとらわれている』
そして、ラジオはCMに変わった。
助手席のウォルターがビンごとバーボンを口へ運んだ。
「俺にもよこせ」
ドライバーのブルースもバーボンを喉に流す。
再びバーグのトークが始まった。
『大抵の人は…』
「ヨタ話だぜ」
ブルースが苦々しく言うと
「まったくだ」
ウォルターが同意する。
「くそユダヤめ」
ブルースは口汚く貶すと、もう1口バーボンを流し込んだ。
「ああ マジで最低な野郎だ」
ウォルターも吐き出す様に言う。
「撃ち殺すべきだ」
次第にブルースは過激になったが、
実のところ、ウォルターは別の事を考えていた。
「夜中に狩りなんてー ボブが狙う獲物は 一体何なんだ?」
「さあな」
ブルースはとぼけているのか…
「コウモリか?」
「お前の勧誘かも」
車は目的地に近づいていた。
「着いたぞ」
すると、今まで黙っていた後部座席のゲイリー・ヤーブローが言った。
「安全装置は外すな」
そして、3人は森の中へ向かった。
先頭は懐中電灯を持ったブルース、
次は、引切り無しに喋り続けているウォルター、
そして、最後にゲイリが付いて来た。
「彼女は“早く出てって”・・・」
のべつ幕無く続くウォルターの話を2人は我慢強く聞いている。
その時突然、1発の銃声が闇夜に響き
ウォルターがその場に倒れた。
何と、いきなりゲイリがウォルターに
引き金を引いたのだ。
突然の銃撃に、ウォルターは目を見開き動揺し、苦しそうに震えている。
「ウォルター お前はしゃべりすぎなんだ」
ゲイリは冷徹に告げると、彼にめがけ数発の銃弾を打ち込んだ…
続きは本編で!
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
本物ソックリ?ニコラス・ホルトの名演技
事件の流れは、ほぼ実話に基づき、そこへ登場人物たちの人間模様が脚色され
見応えのある作品になっていた。
実在のボブ・マシューズにかなり寄せた外見のニコラス・ホルト
低迷が続いていたホルトだったが
ニコラス・ホルトのボブ・マシューズ役の力強く説得力のある演技を見ればそれがわかる。ホルトは本物のマシューズそっくりで、人種差別的な憎しみに満ちた男を演じるコツは、彼を戯画化することではなく、日常の悪の人間性を見せることだが、ホルトはそれを完全に無防備なやり方でやってのけている。彼は、マシューズの信念は絶対的なものであり、彼はその信念に従って生きているが、その信念が彼に恐ろしくカリスマ的な凶悪犯のリーダーとなる熱意を与えていることを私たちに示している。 出典:VARIETY
と、彼の演技は非常に高い評価を受けた。
確かに、どこか好青年の印象を与える澄んだ瞳
だが、しかし
その見た目と本性とのギャップが大きい故に
後半になると、ジワジワと不気味に恐ろしさが増した。
原理主義者の本性を描いた傑作
この作品を観るにあたり
ここを押さえておくと
ストーリーをより楽しめるのではないかな、
と思う肝の部分を紹介したい。
原理主義者(カトリックにしてもマフィアにしてもKKKにしても)とは、
「彼らには皆、大義があるが、実際は自分の利益を追求しているだけだ」
これが彼らの本性である!