今回紹介する映画は 蜘蛛の巣を払う女
2019年日本公開 製作国:アメリカ合衆国、イギリス、スウェーデン、カナダ、ドイツ合作
監督:フェデ・アルバレス
原題:The Girl in the Spider’s Web 上映時間:115分
原作:デヴィッド・ラーゲルクランツの【ミレニアム4 The Girl in the Spider’s Web】
『ミレニアム』シリーズ解説
『ミレニアム』シリーズは、スウェーデンのジャーナリストで作家のスティーグ・ラーソンの小説シリーズです。
ラーソンは、ミレニアムシリーズを全10部で構想していましたが
彼は第1部の出版を待たずに2004年に心筋梗塞で急逝します。
彼の死後
2005年「ドラゴン・タトゥーの女」
2006年「火と戯れる女」
2007年「眠れる狂卓の騎士」の3部作が出版されました。
しかし、既にラーソンが亡くなっているため、シリーズはこの3部作で完結します。
その後、このシーリーズは母国スウェーデンで大変な人気を博し
2005年の初版から約3年でシリーズ合計290万部を売り上げるベストセラーになったのです。
そして、その勢いのままフランス、ドイツ、アメリカをはじめ世界30カ国以上で翻訳され、800万部以上を売り上げる世界的人気小説になっていきました。
そこで出版社は、ノンフィクション作家のデヴィッド・ラーゲルクランツに続編の執筆を依頼します。
そして、ラーゲルクランツの手によって3作が完成し出版に至りました。
こうして、2015年に「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女」
2017年「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」
2019年「ミレニアム6 死すべき女」が出版されたのです。
興味のある方はこちら↓を参考にしてみて下さい
そして【蜘蛛の巣を払う女】は、スウェーデン三部作とハリウッド版の前作に次いでシリーズで三度目の実写化。
また、この最新作は、前作【ドラゴン・タトゥーの女】から、監督、キャストが一新され、前作を手がけたフィンチャーは製作総指揮に名を連ねています。
前作を観ていない方にも、十分楽しめる作品となっています!
公式Twitterの解説通り、黒、白、赤の色彩を上手く取り入れたシーンは、異様さが際立つ演出でとても印象的です。
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キャスト紹介
【蜘蛛の巣を払う女】では、天才ハッカーのリスベット役にクレア・フォイが抜擢されました。
私にとって、今までのクレアのイメージとはかけ離れ過ぎて、彼女のリスベット役は想像できませんでしたが、
監督のフェデ・アルバレスが、彼女をキャスティングした狙いを知ると、それはとても納得する理由でした。
その理由とは…
リスベットの無表情な中に、瞳で感情を表現でき観客に親しみを感じさせ、ストーリーにより深みを持たせたい。
それを体現できる女優がクレア・フォイだったのです。
正に!こちら↓のドラマもクレアの瞳の演技が際立っています
リスベット・サランデル: クレア・フォイ
背中にドラゴンタトゥを入れた天才ハッカー 特殊な映像記憶能力を持っています
ミカエル・ブルムクヴィスト: スヴェリル・グドナソン
雑誌『ミレニアム』のジャーナリスト リスベットの協力者
カミラ・サランデル: シルヴィア・フークス
リスベットの双子の妹 ザラチェンコの後継者で“スパイダーズ”の黒幕
フランス・バルデル: スティーヴン・マーチャント
人工知能研究の世界的権威で“ファイアーフォール”の製作者
アウグスト・バルデル: クリストファー・コンベリー
教授の自閉症の息子 サヴァン症候群ではないかと教授は期待しています
エドウィン・ニーダム: ラキース・スタンフィールド
“ファイアーフォール”を盗んだリスベットを追うNSAのセキュリティ専門家
プレイグ/ キャメロン・ブリットン
リスベットのハッカー仲間
エリカ・ベルジェ/ヴィッキー・クリープス
『ミレニアム』編集長 ミカエルと不倫の関係
あらすじ
リスベットとカミラ
雪深く人里離れたとある屋敷で、双子の姉妹リスベットとカミラが、チェスを始めていました。
姉妹は、双子でありながら容姿も性格も全く違います。
「チェックメイト」
頭脳明晰のリスベットがあっさり勝負を決めてしまいます。
勝負が付くと、カミラは自分のkingの駒を倒しました。
すると何処からともなく、そのkingの駒に蜘蛛が現れ糸を張り始めていました。
そこへ、父親の部下が入ってくると
「お父さんが呼んでいる」と姉妹は寝室に連れて行かれます。
姉妹の父親アレクサンデル・ザラチェンコは、ロシアから亡命した大物スパイでした。
しかし、スウェーデン当局は彼の利用価値を優先し、どんな悪事を働こうと加護しているような状況でした。
すると、父親の寝室から全身にタトゥーを入れた全裸の女性が出て来ます。
姉妹は、驚きもせず寝室に入って行きました。
すると、ザラチェンコはベッドに腰かけ
「おいで」
と姉妹を呼びます。
カミラが行こうとすると、リスベットはカミラの手を掴み引き止めます。
しかし、カミラはその手を放しザラチェンコの元へ行ってしまいました。
「2人とも、もう大人だな」
そう言ってザラチェンコは、嬉しそうに14歳のカミラを見つめるとネクタイを緩めます。
「カミラ、ゲームをしよう」
カミラは、ザラチェンコの言われるままに、彼の膝の上に座りました。
その時、リズベットがカミラの手を掴むと部屋から飛び出します。
2人は急いで部屋に戻ると、リズベットはバルコニーから逃げ出そうとします。
しかし、そこは手すりが壊れ今にも崖へ落下してしまいそうです。
「カミラ」
意を決したリスベットはカミラを呼びました。
今、逃げ出さなければ母親の二の舞になってしまいます。
そこへ、ザラチェンコが部屋まで追ってきました。
「2人とも、パパのところへ来い」
カミラは、ザラチェンコに言われるまま、彼の元へ戻ります。
「来なさい」
さらに、ザラチェンコはリスベットへ手を差し出します。
ところが、リスベットは2人が見守る中、バルコニーから身を投じました。
しかし、彼女は難なく深い雪へ着地すると、森へ向かって走って行きました。
ファイアウォール
16年後
今夜もリスベットは、女性を虐げる下劣なDV夫を成敗していました。
そして、傷ついた妻のリンダとその子供を夫から逃がしてやります。
リスベットは、リンダに抱かれ出て行く子供に、幼き日の自分を重ねていました。
その後、この事件は巷で暗躍するハッカーの仕業だと話題に上り、ニュースで取り上げられます。
リンダは「娘と私から一言、誰だか知らないけど、ありがとう」とマイクを通しリスベットに感謝を伝えました。
一方、雑誌出版社ミレニアムは経営不振に陥り、買収も取り出されています。
そこで、編集長のエリカは、ミカエルに再び記事を書くように頼みました。
ミカエルはエリカの頬に手を当てると
「今夜来いよ」
とエリカを誘いますが
「今夜は夫と食事をするの」
とあっさり断られてしまいます。
そして、電話に呼ばれ、エリカは出て行ってしまいます。
ミカエルは、何もかも行き詰っていました。
リスベットは、ガールフレンドと一夜を過ごし朝を迎えていました。
ガールフレンドは、ゴミ箱に山と捨てられたリスベットの写真を見つけます。
その中に、幼い頃のリスベットとカミラの写真がありました。
「姉妹がいるの?」
「いいえ」とリスベットは答えます。
何故なら、カミラは3年前に自殺していたからです。
「愛する人の死は友達に話すものよ」
「想定が間違ってる」
そこにリスベットのスマホが鳴りました。
プレイグからです。
「不可能を求める客がいる 興味あるか?」
リスベットは、資料を送るように伝えてスマホを切りました。
しかし、ガールフレンドはまだ写真を持っています。
「父親はサイコパス。双子の妹も同じだった。2人が死んで嬉しい。帰って、仕事だから」
リスベットは、素っ気なく言うとパソコンを立ち上げ、送られたメールを開きます。
それは、NSA核防衛システム分析についての資料でした。
資料を読んだリスベットは、依頼者で暗号考案者バルデル教授に会いにバイクを走らせます。
リスベットを待っていたバルデル教授は「私の罪の集積だ」
そう言ってリスベットに持ってきた資料を渡します。
彼は自身が作った“ファイアウォール”というソフトウェアを盗んで欲しいと頼みました。
ところが、この2人の様子をハッキングしている怪しい男がいたのです…
この続きは本編で!
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勝手に私見考察
テーマに込めたラーソンの思い
このシリーズは、全篇を通し、女性に対する蔑視と暴力がテーマになっています。
それは、ラーソンが15歳の時に参加したキャンプで、輪姦現場を目撃した事に端を発します。
その時、彼は臆病なあまり何も行動出来ませんでした。
そして、ラーソンはその事をずっと悔やみ背負い続けたのです。
彼が背負った怒りや葛藤を、主人公リスベットに込め執筆した小説だと知ると、
何故、リスベットが弱い女性や子供を命がけで救うのか、より理解が深まると思います。
そして、輪姦事件の被害者少女と同じ名前のリスベットが、巨悪な権力者や巨体な男達に肉体戦ではボコボコにされても、天才的閃きとチーム戦で悪を圧倒する勧善懲悪ストーリーでラストはスッキリです!
しかし、ビックネームの並んだ前作に比べると、興行成績はイマイチだったようで賛否はわかれますが、
いやいや、本作品もかなり面白かったです!