今回紹介する映画は ディアボロス/悪魔の扉
概要
1997年のアメリカ製作のオカルト・スリラー
監督:テイラー・ハックフォード 脚本:ジョナサン・レムキン、トニー・ギルロイ
テイラー・ハックフォード監督と言えば【愛と青春の旅立ち】(1982) です。主題歌「Up Where We Belong 」と共に今でも語り継がれる名作でとにかく、リチャード・ギアがカッコよかった~
原題:The Devil’s Advocate 上映時間:144分
邦題の「ディアボロス」はギリシャ語で「悪魔」の意
原作:アンドリュー・ネイダーマンの小説『悪魔の弁護人』
【スピード】(1994)ですっかりキアヌにハマった私は【ディアボロス/悪魔の扉】の公開を心待ちにして映画館に足を運びました。
期待通りのキアヌのカッコ良さに加えて、この作品の面白さもあり2回連続で観る始末…併せて5時間!
5時間もキアヌを堪能したんです。
当時の映画館はまだ入れ替え制の導入前で、何回でも観られる贅沢が出来たんですね~もちろん!追加料金はありません
キアヌとアル・パチーノの共演、当時は新人女優だったシャーリーズ・セロンの映画出演2作目など、今から思えば実に豪華キャストのオカルト作品でした。
そして、何と言ってもアル・パチーノの演技は流石でした!
彼の存在感が半端ないです。
また、新人女優だったセロンの存在感も光っていました。
この2人の強烈な演技にキアヌの存在は少々薄い感じも…
オカルト作品では宗教色が濃くなるものですが
この作品も同様に物語の軸はキリスト教です。
まあ、原作『悪魔の弁護人』が 17 世紀の英国の詩人ジョン・ ミルトンの『失楽園』をオマージュして書かれていますので、サタンやアダムとイブの誘惑と堕落を描いていますし
また、アル・パチーノ演じるミルトンの名も詩人のジョン・ミルトンから付けられています。
フロリダで裁判の無敗記録を更新する新鋭の弁護士
ある日、ニューヨークの大手法律事務所に好待遇でスカウトされます。
順風満帆な都会での生活と思ったのも束の間…
“羊たる汝を狼の群れに”
この聖書の一節のように狼の群れに飛び込むが如く…
彼の周りに異変が起こり始めるのでした。
キャスト紹介
この作品で飛躍したのは、シャーリーズ・セロンだけではありません。
そうです!クリスタベラ役のコニー・ニールセンをご存じの方も多いはず…
彼女もクリスタベラ役に抜擢された後、『パーマネント・ミッドナイト』(1998年)、『ラッシュモア』(1998年)、『ソルジャー』(1998年)と引っ張りだこに、そしてあのアカデミー賞作品賞の『グラディエーター』(2000年)のルシラ役をゲットしたわけです!
メインキャスト
ケヴィン・ロマックス/キアヌ・リーヴス | フロリダの弁護士で連戦連勝記録を更新する敏腕弁護士 ニューヨクの大手法律事務所にスカウトされます 母子家庭で育ったケヴィンは母親とも関係は良好で愛妻家 敬虔なクリスチャンの母親とは違い無宗教 |
ジョン・ミルトン/アル・パチーノ | ケヴィンをスカウトする大手弁護士事務所のトップ ケヴィンを大抜擢し高給な弁護案件をオファーします |
メアリー・アン・ロマックス/ シャーリーズ・セロン | ケヴィンの妻 マンハッタンへ引っ越し後、次々と怪奇現象が起こり 周囲の異常さに気づき夫の助けを必要としますが、 ケヴィンは仕事に追われ孤独感に苛まれ次第に精神を病んでいきます |
アリス・ロマックス/ ジュディス・アイヴィー | ケヴィンの母 工場で働きながらケヴィンを育てました 敬虔なクリスチャンで「母さんの悪い予感は当たる」とケヴィンにも 認められています 嫁のメアリとは微妙な関係でしたが マンハッタンで様子が変わったメアリを気遣います |
アレクサンダー・カレン/ クレイグ・T・ネルソン | マンハッタンの不動産王 妻、義理の息子、メイドを殺害した 事件の容疑者でケヴィンが担当弁護士に抜擢されます 14歳の養女をいたく思いやっています |
クリスタベラ/ コニー・ニールセン | 大手弁護士事務所の女弁護士 ケヴィンは出会った瞬間から彼女に強く惹かれます |
あらすじ
フロリダ州ゲインズビルのケビン・ローマックスは、無敗を誇る敏腕弁護士です。
この日も、女子生徒にわいせつ行為をした疑いで教師のロイド・ゲティスの弁護をしていました。
「続けて バーバラ」
被害者のバーバラが証人尋問を受けています。
「普段は授業が終わるとホームルームに戻ります」
「問題の日も戻った?」
バーバラの代理人が質問しました。
「いえ ゲティ先生が残れと 隣に座らせました」
「バーバラ 君自身の言葉で その後起きた事を」
代理人に促されバーバラは、涙声で被害の詳細を話し始めました。
「私が帰りのバスを心配すると すぐだからと先生は言い いきなり私のブラウスの中に手を 怖くて動けず黙ったままいると 片方の手がスカートの中に その手をモゾモゾ動かしてさらに奥の方へ…」
バーバラが証言している最中、ケヴィンはふと隣に座る教師の手が、机の下で動いている事に気づきます。
何と、ゲティスはバーバラの話を聞きながら興奮を覚え、証言と同じ様に手をモゾモゾと動かしているのです。
「どう感じるかのテストだと先生は言いました 何か言わなくちゃと思いましたが混乱して…」
証言の間、ゲティスは机の下で手をモゾモゾと動かしていました。
ケヴィンは、後ろに座る傍聴席から見えやしないかとハラハラしとても落ち着いていられません。
「…声が出ませんでした 手は動き続け ついに私が叫ぶと 先生は怒り後日やり直すと」
すると、ゲティスはようやくケヴィンの様子に気づき、慌てて机の上で手を組みました。
ケヴィンが嫌悪感を抱いた目でゲティスを睨むと、その視線に彼の表情が一気に強張ります。
「やり直した?」
代理人とバーバラの尋問が続きます。
「私ではなく」
「君の友達に?」
「はい」
「君が友達に打ち明けると 友達も同じ目に合ったと言った」
代理人は怒りを露わにして、ゲティスを指さしています。
次はケヴィンの反対尋問が始まりますが、それどころではありませんでした。
なぜなら、裁判中に無実だと信じていた被告人が自ら罪を告白したようなものです。
このまま、彼の弁護を続けるのか…
「そうだね?」
「はい」
バーバラは、絞り出すように答えていました。
「弁護側 どうぞ」
裁判長が促します。
「少々休憩を」
ケヴィンには、考える時間が必要でした。
「よろしい では 15分休憩します」
その言葉が終わらないうちに、ケヴィンは席を立つと足早に法廷から出て行きました。
それを見たゲティスは、慌てて彼の後を追いかけます。
「ロマックス 待て」
「近づかないでくれ」
ケヴィンは、ゲティスの顔など見たくもありません。
「何を言ってる」
ゲティスはケヴィンを引き留めました。
「善人ぶって よくもだましたな」
「君は私の弁護士なんだぞ」
「証言台で実演したいか スケベ野郎 近寄るな!」
ケヴィンはそう吐き捨てるとトイレへ向かいました。
このままでは、ケヴィンの連勝記録がストップしてしまいます。
とは言え、有罪と判明したあのスケベ野郎の弁護を続けるべきなのか…
ケヴィンは、鏡の中の自分に自問します。
その時、トイレの扉が開き裁判を取材している、顔なじみの記者が入って来ました。
「ここか 逃げたかと思った」
彼は、ケヴィンを煽るように言います。
「よせ」
ケヴィンは、冷静に彼を制しました。
「戦術は? 夕刊の締め切り時間でね 一言」
「クソったれ」
それを聞いた記者は、用を足しながら
「“ロマックス弁護士 無言 しかし大方の関係者はついに新鋭弁護士の不敗神話が崩壊すると考えている”」
と又もやケヴィンを煽ります。
ケヴィンは迷いを流すかのように、顔を洗い頭を冷やしました。
「いつかは負ける日が来る 人間ならね」
記者はそう言ってあいさつ代わりに、ケヴィンへウインクをして舌を鳴らしドアを開けます。
ケヴィンも真似をして舌を鳴らし返しました。
記者が出て行くと、ケヴィンは顔を拭き鏡の自分をもう一度見つめます。
そこに映った顔にはもう迷いはありませんでした…
続きは本編で!
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(配信は投稿時のものとなります)
この作品のキャスティングにあたり、アル・パチーノはありがちな役柄で3回も断ったそうですが、結局、高額なギャラを条件に引き受けたそうです。
その一方で、キアヌはアクション作品には連続して出演しないという拘りから、大ヒット映画『スピード』の続編を断ってディアボロスの出演を決めました。
しかも、アル・パチーノの高額なギャラのあおりで、ギャラを減額しての契約をしたそうです。
この頃から、欲がなく決して偉ぶらないイイ人だったんですね~
まあ、アル・パチーノ演技が高く評価された作品ですから、高額なギャラでもOKなのでしょう
そこは、さすがですね!
参考:Wikipedia(the devils advocate)