今回の【あなたの名前を呼べたなら】の記事を見た覚えのある方!
そうなんです。2回目の投稿です…
レンタルサーバーを移行した際に消えてしまった6つ記事の中の1つで
今回再投稿しました~
今回紹介する映画は あなたの名前を呼べたなら
2018年インド・フランス合作映画 製作・監督・脚本:ロヘナ・ゲラ
原題:Sir (上映時間99分)
なぜ、インドでは未公開なのか?
インドは今なお格差・階級社会が根強く残っている国です。
そして、厳しい学歴社会でも知られ、若年層の自殺が社会問題になっています。
(インド製作の【きっと、うまくいく】では、この厳しい学歴社会が描かれています)
そうなんです!
インドで生きること自体が、とても厳しいんです。
自身がムンバイ出身のロヘナ・ゲラ監督は、そんなインドの社会システムに変革を呼びかけている1人
そして今回、監督が作り上げた【あなたの名前を呼べたなら】は…
インド社会では絶対にありえない階級を超えた禁断の恋がテーマです。
これは、インド国民には決して受け入れられないことであり
この作品は、同国内では未公開なのです。
しかし、【あなたの名前を呼べたなら】は、2018年カンヌ国際映画祭批評家週間に出品されると、見事GAN基金賞を受賞するなど世界では高い評価を受けました。
それでは、恒例の監督紹介から
ロヘナ・ゲラ監督紹介
"The spirit of the film is a call to believe in your dreams to break out of society, to be who you want to be, and it’s a love story.” – @RohenaGera, director of the film Is Love Enough? Sir https://t.co/AkGWN08xW5
— SheThePeople (@SheThePeople) January 14, 2021
インドの上流階級出身のゲラ監督は、アメリカのスタンフォード大学とサラ・ローレンス大学に進学し学位を取得しています。 その後、パラマウント・ピクチャーズ文学部門に就職。2003年にソニー・エンターテインメント・テレビドラマシリーズ『Jassi Jaissi Koi Nahin』で脚本家デビューしています。
2013年『What’s Love Got to Do with It?』で監督デビュー。この作品は、インド家庭の社会的義務や圧力を取り上げた作品で、ムンバイ映画祭の上映作品に選ばれました。
また、彼女は監督業のかたわらNPO団体のメンバーとして平和運動や自然保護活動に参加しています。
現在、ゲラ監督はフランスで家族とともに暮らしています。
そして、この作品は欧米の価値観からインド社会を描いています。
監督がこの禁断のラブストーリーに込めた思いとは
社会に抑圧されている女性たちに贈るエールではなでしょうか…
キャスト紹介
ラトナ役のティロタマ・ショームもインドの上流階級出身で、この作品の出演を決めたのは罪滅ぼしのためでもあると彼女は語っています。
ラトナ /ティロタマ・ショーム
地方の農村出身の未亡人のメイド
アシュヴィン /ィヴェーク・ゴーンバル
ムンバイの建設会社の御曹司でラトナの雇用主
ラクシュミ /ギータンジャリ・クルカルニー
ラトナの友人で同じマンションで働くメイド
ヴィッキー /チャンドラチュール・ラーイ
アシュヴィンの友人
ナンディタ /ディルナーズ・イラニ
ラトナの妹
アンキタ /アヌプリヤー・ゴーエンカー
アシュヴィンのホームパーティーで出会ったファッションデザイナー
ラジュー /アーカーシュ・シンハー
アシュヴィンの運転手
サビナ /ラシ・マル
アシュヴィンの婚約者
あらすじ
ラトナは、雇い主のアシュビンがハネムーンの間、休暇で里帰りをしていました。
ところが、その結婚が破談になってしまい、急遽ムンバイに戻る事になったのです。
バスで長距離の移動中、ラトナは実家では外していた腕輪をはめます。
村では、未亡人は不吉だと言われ腕輪をはめる事も許されないのです。
そして、バスの長旅を終えてマンションに着いたラトナは、さっそく部屋の掃除を始めました。
その頃、運転手のラジューもマンションに戻って来ました。
「お前もか」
警備員が声をかけます。
「ああ、早帰りさ。駅で電話が来た。休暇がパアだ」
「クソったれ」
「一体何があった?結婚式の当日に帰国なんて」
「式は中止か?」
ラジューは、何も知らない警備員に愚痴をこぼしました。
それから、彼はアシュヴィンを迎えに行く為、車のキーを取りに部屋へ向います。
「聞いたか?式が中止に」
ラジューは、ドアを開けたラトナに、開口一番に言いました。
「なぜ、それを?お節介ね」
ラトナは、軽率に噂話をするラジューを咎めました。
アシュヴィンがマンションに帰った時には、既に夜も遅い時間でした。
長旅の疲れもあって、ラトナは居眠りしています。
そして、玄関ドアの開く音が聞こえて、ラトナは目を覚ますと
急いでキッチンへ向かい軽食を用意し始めました。
ラトナが軽食を運んでいくと…
アシュビンは、ソファにあった婚約者ナビアのスカーフを床に叩きつけました。
それを目撃したラトナは、黙って軽食を下げます。
真夜中
眠っていたラトナは、アシュヴィンの様子が気になり目を覚まします。
すると心配した通り、アシュビンはお酒を飲んで、ソファでそのまま眠っていました。
ラトナは、そっとアシュビンに布団を掛けると電気を消して戻って行きます。
翌朝
既に居間のソファにアシュビンはいませんでした。
ラトナは、布団やコップをかたずけ、アシュビンの朝食の準備を始めます。
アシュビンは、部屋で仕事をしていました。
ちょうどラトナが朝食を運んだ時、アシュビンのスマホが鳴りました。
それは、サビナからです。
「ラトナ、ドアを閉めて…」
とアシュビンが言いかけるより早く、ラトナはドアを閉めて出て行きました。
「ありがとう」
お礼を言うとアシュビンは電話に出ます。
その後、ラトナがキッチンでお茶を飲んでいると、電話の終わったアシュビンが何も言わずマンションから出て行きました。
彼は、車で待機していたラジューも通り過ぎ近くの海岸へ向かったのです。
途中、売店で買ったタバコに火を付けようとしますが、マッチの火は風で消えてしまいます…
そして、アシュビンはただ海を眺めるのでした。
ラトナがベッドメイキングをしていると、玄関チャイムがしつこく鳴ります。
「大奥様」
「アシュビンは?」
アシュビンの母親が訪ねて来ました。
「お留守です。電話は部屋に」
「待つわ。ライム水をそれと…エアコンを入れて」
ラトナは、彼女の目の前に置いてあるリモコンでエアコンを入れます。
「サビナは来た?」
「いいえ」
「電話は?」
「さあ」
その時、玄関チャイムが鳴りラトナが出迎えると、アシュビンが戻って来ました。
「大奥様が」
ラトナが伝えるとアシュビンは居間へ向かいます。
「母さん」
「サビナと話した?」
「結婚式はもうない。なのに、どうやって関係を続けろと?」
母親は、サビナから関係を戻しに来るとアシュビンに伝えました。
こうして思いもかけず、メイドのラトナと傷心のアシュビンの同居生活が始まる事になりました。
続きは本編で!
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
この作品の面白いところは、自由奔放な婚約者サビナから言われた言葉に刺激を受け
ラトナが目覚め、ファッションデザイナーを目指している所です。
その言葉とは…
『自分の生き方は自分で決める』
そしてサビナは、未亡人のラトナに腕輪をプレゼントしています(冒頭に出てくる腕輪です)
バツイチで農村出身のラトナが、自立した女性を目指すというのは、かなりハードルの高い夢ですが
そんなラトナに恋をしたのがアシュヴィンで、結局サビナはアシュヴィンに振られてしまいます。
皮肉な結末~
また、インドでは決してあり得ないお金持ちとメイドの恋
ですがアシュヴィンはアメリカ生活が長い御曹司という設定でラトナへの思いを諦めませんでした。
このアシュヴィンこそゲラ監督自身だったのではないでしょうか…
作中、アシュヴィンは何度もインド社会のシステムに首をかしげています。
そして、ラトナのファッションデザイナーになる夢を叶える手助けもしました。
社会で差別を受ける女性にも、自分の人生を歩んでほしい!
そんな監督の情熱がこもった作品でした。