今回紹介する映画は いつか晴れた日に
概要
1995年製作のアメリカ・イギリス合作映画
監督:アン・リー 脚本:エマ・トンプソン
原題:Sense and Sensibility
上映時間:136分
原作:1811年に発表されたジェイン・オースティン の『分別と多感』
原作『分別と多感』は、1811年に出版されたジェーン・オースティンの長編小説デビュー作です。
その後、彼女は11年という短い作家人生の中で『高慢と偏見』『エマ』『マンスフィールド・パーク』『ノーサンガー・アビー』『説得』の長編小説を執筆し、その全てが何度も映像化されるという
正に!恋愛小説の女王的存在なのです。
そんな彼女の作品と言えば…
平凡な田舎を舞台に、名家の娘と牧師や軍人などの紳士を中心に、親族やご近所付き合いに巻き込まれながら、それぞれの男女が紆余曲折を経てめでたく結婚するまでを描いた何でもない物語が殆どなのですが…
なぜか面白い!
特に、19世紀のイギリス階級社会では、お金や家の体裁、おまけに社会的潮流に翻弄され、女性が自分の意思など貫けなかった時代
そこへ
”女性の本当に幸せな結婚とは!”
とオースティンが突きつけた小説は大ヒットしたんです。
そして、現在でも恋愛鉄板ストーリーとして多くの女性から支持されています。
こちら↓でもオースティン作品を紹介しています。
キャスト紹介
エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・グランドにアラン・リックマンと日本でもお馴染みの豪華キャストが共演していますが。
個人的には、アラン・リックマンの【ダイ・ハード】や【ハリーポッター】での悪役が印象深くて、どうしてもブランドン大佐がハンスやスネイプに見えてしまう…
ダッシュウッド一族
エリノア・ダッシュウッド /エマ・トンプソン | ダッシュウッド家の長女 知的で思慮深く、感情を表にあまりあらわさない |
マリアンヌ・ダッシュウッド /ケイト・ウィンスレット | ダッシュウッド家の次女で美人 情熱的で多感な性格 衝動的な恋をする |
マーガレット・ダッシュウッド /エミリー・フランソワ | ダッシュウッド家の甘えん坊な三女 |
ダッシュウッド夫人 /ジェマ・ジョーンズ | エリノア、マリアン、マーガレットの母親で 亡くなったダッシュウッド氏の後妻で未亡人 ジョン・ダッシュウッドの継母 |
ジョン・ダッシュウッド /ジェームズ・フリート | 先代のダッシュウッド氏の先妻の子 ダッシュウッド三姉妹の異母兄弟 継母と妹達のことを父に頼まれるが、 それを実行する事はなかった |
ファニー・ダッシュウッド /ハリエット・ウォルター | ジョンの妻でエドワードの姉 義母のダッシュウッド夫人や義妹達に対して びた一文も渡たさないよう夫に仕向ける |
エレノアとマリアンヌの恋愛相手
エドワード・フェラース /ヒュー・グラント | ファニー・ダッシュウッドの弟で誠実な青年 エリノアと惹かれあう |
ブランドン大佐 /アラン・リックマン | 英国軍の大佐 若い時に悲恋した恋人に似ている マリアンヌに想いを寄せる |
ジョン・ウィロビー /グレッグ・ワイズ | ミドルトン家の隣人の美青年 マリアンと情熱的な恋に落ちるが、 女好きで、女性関係に対して不誠実なところがある |
本作で第68回アカデミー賞にて脚色賞を受賞したエマ・トンプソン。
しか~し、彼女はこの作品で、名声も伴侶も得ていたんです。
何と!マリアンヌをどん底に突き落としたウィロビー役のグレッグ・ワイズと交際が始り、
2人は2003年に結婚しています。
あらすじ
「息子さんの到着です」
「父上」
「ジョンか」
貴族のダッシュウッド氏は臨終の床へ長男で遺産相続人のジョン・ダッシュウッドを呼び寄せました。
「これはわしの遺志だ ノーランドの屋敷と土地はふた家族に分けることはできん」
「体にさわりますよ」
息苦しそうなダッシュウッド氏は、ジョンにすがるように遺言を続けます。
「ノーランドの土地屋敷は法の通り すべてお前が引き継ぐ わしもそれで満足だ
だが今の妻と…あの娘たちには年500㍀しか残せん 結婚の費用もない
助けてやってくれ」
「もちろん」
ジョンは父の願いを聞き入れ答えました。
「必ずだ 約束だぞ」
しかし、ダッシュウッド氏はジョンを真っすぐ見据え念を押すように言いました。
「約束しますよ 父上」
ジョンは涙ぐみながらダッシュウッド氏に力強く誓います。
「助けるって 何をよ?」
「3000㍀を渡したい」
自宅に戻ったジョンは、父との約束を果たそうと妻のファニーに相談します。
しかし、それを聞いたファニーは不満気です。
「利子が助けになるだろう それで父上との約束が果たせる」
ジョンは簡単には引き下がれません。
「果たしすぎですわ」
「足りないよりはいい」
ファニーは無言で反対の意を示します。
「金額は決めてないがね」
その無言の圧力に、とうとうジョンが折れ始めました。
「じゃ 1500㍀では?」
「実の妹にだって そんなにしないのに 異母の妹に」
それでもファニーは不満気な様子です。
「文句は言うまい」
「当然よ そんなに払えるの?」
ジョンは外出中も諦めず
頑なな妻に何度も説得を試みるのですが…
ファニーから良い返事を聞くことは出来ませんでした。
それならと
「母親が死ぬまで毎年100㍀ 一度に1500㍀よりいいだろ」
譲歩するジョンですが…
「もし15年以上生きたら損するわ…」
ファニーはいっこうに折れてくれません。
しかし、ジョンも食い下がりました。
「とりあえず 20㍀にしよう」
「十分よ お父様だって そこまで期待してなかったわ」
「年500㍀あるしな」
「女の4人暮らしでしょ? 生活費はかからないわ 馬車もないし お客だってこないし 楽なもんですよ
うちが貰いたいぐらい」
こうしてジョンは、まんまとファニーに言いくるめられてしまいました。
一方、ノーランドの屋敷では二女マリアンヌが亡き父のためにピアノを弾いています。
そこへ、姉のエレノアがやって来て
「マリアンヌ曲を変えて ママが泣き止まないわ」
とだけ言うと、急いで母親の元へ戻って行きました。
仕方なくマリアンヌは別の曲を引き始めたのですが…
「暗くない曲を」
とエレノアの大きな声が聞こえます。
今日は、亡くなったダッシュウッド氏の遺産を相続人の長男夫婦が屋敷に引っ越して来るのです。
未亡人となったダッシュウッド夫人は、思いやりもない長男夫婦に腹を立て荷造りをしていたのでした。
「自分の屋敷で間借りなんて耐えられない」
「でも どこへ行くの?」
自棄になっている母親を心配して、長女のエレノアはずっと宥めていたのです。
「2人がロンドンから着くわ 歓迎できて? ハゲタカよ」
怒りの収まらないダッシュウッド夫人は、ソファーに泣き崩れてしまいました。
そんな母親の肩をエレノアは優しく撫でながら
「すぐに新居を探すわ それまでは我慢して」
と宥めるのがやっとでした。
続きは本編で!
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
慎み深いエレノアと多感なマリアンヌ、正反対な2人の恋の行方は…
ずっと自分の感情を押し殺し、みんなを見守り続けたエレノアは、
家を破門され貧乏になったが思い続けたエドワードと結ばれ、
自分の感情に正直なマリアンヌは、
イッタ~イ失恋を通し自分を思い続け大切にしてくれたお金持ちのブランドン大佐と結ばれました。
この結末は、実に皮肉にも感じるのですが…
結局、恋なんてそんなものだよね~
と納得できるものだったのではないでしょうか。
何故かと言えば…
謙虚で慎み深い人は、やはり謙虚で誠実な人を選ぶでしょうし、
多少貧乏だって愛さえあれば耐えられるタイプでしょ
情熱的な人が惹かれるのは、積極的で同じく情熱的な人
このタイプは自己中な人が多いのでは…
そうなれば、結果もおのずとそうなりますよね~
と感じるリアルなハッピーエンドだったのではないでしょうか。
ジェーン・オースティンが描く、女性の幸せな結婚!
実は、よ~く人間観察されたうえでのハッピーエンドを描いていた!