今回紹介する映画は ビリーブ 未来への大逆転
2018年公開 アメリカ合衆国の伝記映画
監督:ミミ・レダー
原題:On the Basis of Sex 上映時間:120分
この作品のメガホンを撮ったミミ・レダー監督自身も、女性監督の先駆者となって活躍してきた人物です。
彼女の代表作には
- 【ディープ・インパクト】(1998年)
- 【ER緊急救命室 ER】 (1994年 – 2009年)
- 【ペイ・フォワード 可能の王国】(2000年)等々
特に【ディープ・インパクト】やジョージ・クルーニーの知名度を一気に上げたドラマ【ER緊急救命室 ER】は、日本でも大変話題になった作品でした。
そして、今回紹介するこの作品は
1970年代のアメリカで史上初の男女平等裁判に挑み、アメリカ社会に大きな影響を与え
その後、アメリカ合衆国最高裁判事となったルース・ベイダー・ギンズバーグの実話が描かれています。
アメリカ国民は、ルース・ベイダー・ギンズバーグの事を敬愛を込めてRBGと呼び、
リベラル派判事の代表的存在であり
なお且つ、国民的スーパースターの最高裁判事でした。
何故、彼女がここまでアメリカ国民、特に女性達から熱烈な支持を受けるのか…
その答えがこの作品に描かれています。
ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事とは…
この作品の監督ミミ・レダーは、彼女がいなかったら、今の私はいなかったかもしれないと語るように、差別と戦い続け、国に変革をもたらした功労者です。
アメリカ国内では、特に女性や若者達から絶大な人気を誇った最高裁判事で、27年間もの長きにわたりその職を務めました。
正に!RBGは真のリベラルであり、差別撤廃に尽力した偉人です。
公式サイトはこちらから↓
ルース・ベイダー・ギンズバーグVSトランプ大統領
RBGは、2020年9月18日に87歳で亡くなるまで生涯現役で最高裁判事を務めました。
何故なら、時の大統領はトランプでした。
そして、RBGが最高裁判事を引退すれば、大統領によって連邦最高裁判事の指名がなされます。
保守派VS進歩派(リベラル派)により最高裁判事の9人という椅子を巡り、激しい駆け引きが常に行われるのです。
しかし、その後RBGが亡くなると、トランプ大統領は続けて2人の判事を指名する機会が与えられ、その結果保守派が5人、進歩派(リベラル派)が4人となりました。
ところが、最高裁判事は実に公正であり、その後の大統領選の不正疑惑裁判においても、盲目的にトランプ大統領優勢とはなりませんでした。
この時のニュースは、当時の日本でもネットニュースなどで大変話題に上り、陰謀論まで出る始末…
きっと記憶している方は多いのではないでしょうか。
そうです!あの判事がこの作品の主人公なのです。
作品のラストには、RBG自身がカメオ出演しています。
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キャスト紹介
ルース・ベイダー・ギンズバーグ/フェリシティ・ジョーンズ、RBG(本人)
ユダヤ系の女性弁護士で大学教授
マーティン・D・ギンズバーグ/ アーミー・ハマー
ルースの夫。税法専門の弁護士
メル・ウルフ/ジャスティン・セロー
アメリカ自由人権協会(ACLU)のメンバーでルースの旧友
ドロシー・ケニヨン/ キャシー・ベイツ
ベテランの女性弁護士で公民権活動家
アーウィン・グリスウォルド/ サム・ウォーターストン
ハーバード・ロー・スクールの学長。のちに訟務長官になります
ジェーン・ギンズバーグ/ ケイリー・スピーニー
ルースとマーティンの娘。
あらすじ
1956年 ハーバード大学法科大学院に合格した、国内の優秀な新入生たちが、颯爽とハーバード大学へ向かって歩いていました。
そのスーツ姿の男性の集団の中に、若く美しい女性の姿がありました。
彼女の名は、ルース・ベイダー・ギンズバーグ。
この年のハーバード大学法科大学院には、500名の学生が入学し、その中にルースを始め9名の優秀な女性たちがいました。
ところが、この時代の女性たちの殆どが、結婚し専業主婦になる時代、進歩的な女性は好奇な目で見られてしまいます。
その夜
学部長主催の夕食会に参加するため、ルースは着ていくドレスを決めあぐねていました。
「どっちがハーバードマン風?」
ルースは、夫のマーティンに2着のドレスを見せます。
マーティンは、まだ幼い娘のジェーンに食事をさせていましたが、彼女はぐずっていました。
「大切なのはドレスじゃない、中身だ」
ジェーンをあやしながらマーティンは、ルースを励まします。
「美味しくない?」
ルースは、愚図るジェーンを抱き上げました。
「いや」
とマーティンは答えますが、実はルースは料理がとても苦手でした。
「このドレスはダメね」
そう言ってルースはジェーンを連れ、ドレス選びに戻って行きました。
そして、夕食会会場には教授やお偉い方々の面々が揃い、ハーバード大学の格式の高さを物語っていました。
宴もたけなわになると、グリスウォルド学長が挨拶を始めます。
この頃は、女性の法科入学が許されるようになって6年目でした。
グリスウォルドは、女子学生の歓迎会だと言いつつも、本来入学するはずの男子学生の席を奪って迄入学した理由を、嫌がらせように女学生1人1人に紹介させたのでした。
その中で、エミリー・ヒックスは、親の進めた結婚や教師、看護婦といった女性向きの職業にもなる気が無かったと理由を述べると
「くだらん理由だ。次」と言ってグリスウォルドは話を遮ってしまいます。
そして、次はいよいよルースの番です。
ルースが実はミセスであり、夫は同じハーバードの2年にいることや
「入学理由は、夫を理解できる良き妻になるためです」
と少し皮肉を込めて述べると、女性達は吹き出してしまいました。
「酷い夕食会。女学生を笑いものにして」
その後、帰宅したルースは、怒りを抑えきれずマーティンに話します。
「バカな質問だ」
マーティンも同意します。
「君は最も優秀な学生だし…人より目立て」
とルースに心強いアドバイスをくれました。
そして、いよいよ大学院での授業が始まります。
ルースは、マーティンのアドバイス通り、教壇から一番目立つ席に座り、教授の問いに何度も挙手をしました。
ところが、ブラウン教授は男子学生ばかりに答えさせます。
しかし、男子学生たちの訴訟案件の説明は、ブラウン教授を満足させるものではありませんでした。
ルースは、諦めず挙手を続けました。
「質問かキングスバーグ君」
やっと、教授はルースを指しました。
「訂正です」
そう言ってルースは説明を始めます。
すると、先に答えた学生が意見を挟んでルースの邪魔をしてきます。
ですが、ルースは落ち着いて裁判の判例を挙げ説明を続けました。
ルースの説明は、ブラウン教授を満足させるものでしたが…
「それは意見か、単なる軽口かね?」と教授は負け惜しみを言うのです。
こうして、ルースとマーティンは、お互い協力し合い、順調な学生生活を送っていました。
ところが、ある日を境に状況が一変してしまいます。
それは、マーティンが生存率5%の精巣癌に罹ってしまったのです。
しかし、ルースが諦めることはありませんでした。
ここからルースは、マーティンの学業のサポート、家事と育児も孤軍奮闘し、全てをやり遂げたのです。
こうして、お互いを支え合い理解し合いながら、弁護士への夢に向かう2人でしたが…
続きは本編で!
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勝手に私見考察
理想の家族像
正に理想の家族像!
キングスバーグ夫妻のどちらも素晴らしい人柄で羨ましい限りでした。
この2人の場合
どちらとも”~すべき”思考では無く、全くのフラットで柔軟
しかも戦略的思考で危機を乗り切っていくところは、とても良いお手本になりました。
どちらかが犠牲になるのではなく、お互いに理解し合い、家族で助け合うってこういう事を言うのね!
とつくづく思い知らされた作品でした。
真のリベラルを描いた作品
なぜ、弁護士にリベラルや左派が多いのか?
本作品を観るとよく分かる気がしました。
何故なら法律とは、時代の流れと共に社会にとって時代遅れになってしまいます。
故に法律家は社会にそぐわなくなった法律を常により良い方向へ変えていきます。
法律家とは、国を変える事が仕事だと言ってもイイでしょう。
ですから、個人のイデオロギーではなく、リアリズムで国家国民のために行動される事を心の底から願いたい!
作中に、「国民への税の掛け方に国の価値が表れる」と言うマーティンのセリフがありますが、
本当にその通り!
民主主義国とって法律は国の要なのですから、国の価値を上げるような税制政策を是非打ってもらいたいものですね。
ところが、日本ではどうでしょうか?
ずっと懸念されてきた少子化問題や失われた30年の原因も、このマーティンの一言で合点がいきました。
要は、現状に起きている問題に即した政策を打てていないから、いつまで経っても日本の価値は駄々下がり…
なのではないでしょうか!
今の日本には、ルースやマーティンのような本当の法のあり方を理解し、既得権や省益のためではなく、国家国民のために尽くしてくれる真のリベラルの登場が必要なのだ!
どうだ!(堅い内容になってしまいましたが、大切な事なので言い切りました)
今作は、真のリベラルとは…について考えさせられる作品でした。