今回紹介する海外ドラマは ミス・マープル シーズン2
1985年BBC製作 ジョーン・ヒクソン版
今回のシーズン2には下記の長編4作がドラマ化されています。ドラマでは刊行順はスルーされていますが…
- 1930年:牧師館の殺人
- 1965年:バートラム・ホテルにて
- 1971年:復讐の女神
- 1976年:スリーピング・マーダー (刊行年順)
まあまあ、刊行順が違ってもストーリーに影響はありませんので安心して下さい。
あらすじ
ミス・マープルの推理の特徴は、人物に対する観察力と洞察力です。
また、自分の昔話が多いのでよく怪訝に思われますが、彼女は過去の出来事からヒントを導き出し事件を推理していきます。
第1話 牧師館の殺人1
ロンドン郊外のセント・メアリ・ミード村。
ある日、教会で揉め事が起きていました。
それは、寄付金リストの中に寄付した1ポンド札が記入されていないと、村の婦人が訴えたのです。
そして、彼女はプロズロー大佐に同席を依頼していました。
ところが、このプロズロー大佐は、とても傲慢で村人からは嫌われている人物です。
クレメント牧師は、勘違いでは…と言いますが、
プロズロー大佐は「調べてやろう」と教会の帳簿を調べると言い出します。
そして、プロズロー大佐は、副牧師に帳簿を出せと横暴に命令しました。
挙句に断られると、文句を言って教会から去って行きました。
教会のクレメント牧師は、年の離れた妻グリゼルダと暮らしていました。
2人は、幸せな結婚生活を送っていますが…
グリゼルダ は家事が苦手で、メイドのメアリを雇っています。
ところが、メアリは無愛想で料理はお粗末なものでした。
一方、プロズロー大佐は後妻のアンと前妻との娘レティスと暮らしていました。
しかし、大佐の横暴な性格のから、娘のレティスとは不仲です。
また、後妻のアンは画家のローレンスと不倫関係でした。
ある日、クレメント牧師はアンとローレンスの密会を偶然目撃してしまいます。
その日のクレメント牧師は、プロズロー大佐と教会の帳簿の件で6時15分に会う約束をしていましたが、突然の急な呼び出しが入り牧師館を出たのでした。
ところが、その電話の話は全くの出鱈目だったのです。
無駄な時間を取られたクレメント牧師は、急いで牧師館へ戻ります。
すると、画家のローレンスが慌てて走ってきました。
ローレンスは「大佐ならもう来てますよ」「まずい…考えなきゃ」と慌てふためいた様子で去って行きます。
それを聞いて、急いで書斎に向かったクレメント牧師ですが…
そこで死んでいるプロズロー大佐を発見してしまいます。
何と!今回の警部は…シーズン1でも登場した、スラック警部です。(クセがすごい~)
第2話 牧師館の殺人2
拳銃を持って自首をしたローレンス(殺されたプロズロー大佐の妻アンの愛人)。
しかし、彼はアンを庇って自首をしたのでした。
そして、一方のアンもローレンスを庇いっています…
捜査は振り出しに戻ってしまいました。
また、ジェーン・マープルが犯行のあった日、庭から2人(ローレンスとアン)の出入りを目撃していました。
そこで、ジェーンの話を聞いたスラック警部は、他の容疑者の可能性を考えます。
その頃、牧師館を訪れていたジェーンは、
この事件の殺人犯は、お粗末な遺書を残し緻密な人物では無い。
ジェーンが庭にいた時に犯行が行われたなら…犯人は既に牧師館の中にいたのでは…と推理しますが…
捜査をかく乱する犯人。
そこで、ジェーンはあるトリップを犯人に仕掛けます…
第3話 スリーピング・マーダー 1
新婚のグエンダ・リードと夫ジャイルズは、新居を求めてイングランドを訪れていました。
そんな中、グエンダはディルマスで偶然見つけたヴィクトリア朝風のヒルサイド荘を一目で気に入ります。
そして早速、不動産会社に連絡を入れます。
その後、不動産屋とこの家の内覧をしました。
ところが、グエンダは初めて訪れたはずなのに、何故かこの家を知りつくしているかのように、部屋を見て回りました。
そして、1階へ降りようと階段に来たところで、グエンダは突然嫌な感じを憶えます。
それでもグエンダは、予算オーバーのこの家を気に入り、2人は思い切って買う事にしました。
その後、グエンダは購入した家の改装に夢中になります。
そんな時、ロンドンに住む夫の従妹で小説家のレイモンド・ウェスト(ジェーンの甥)から招待状が届きます。
しかし、グエンダは改装工事が気になり、1人でヒルサイドに残る事にしました。
その日は、寝室の壁紙を業者と打ち合わせをしていました。
何故だかグエンダの頭の中には、赤いポピーと青い矢車草の柄がハッキリと浮かび、その壁紙を業者に依頼します。
その後も、不思議な事が続きました。
居間から食堂へ通じるドアへの改装工事で、元々その壁がドアだったことや、庭で階段を造っている場所には、元々古い階段の跡があったことが判明します。
グエンダは、度重なる偶然に恐怖を感じ怖くなってきました。
さらに、古い戸棚を開けると彼女がまさに思い描いた赤いポピーと青い矢車草の模様の壁紙が、そこに貼られていたのです。
驚いたグエンダは寝室を飛び出しますが、再び階段に来るとそこで恐怖感に襲われます…
その時、電話が鳴りました。
それは、夫ジャイルズからの電話で、グエンダは再びロンドンへ招待されました。
そして、今回ばかりはグエンダもその誘いに応じ、明日ロンドンへ立つことにします。
また、ジャイルズはグエンダに会わせたい人がいると伝えます…その人とは…
(もうお分かりですね!)
グエンダに蘇る記憶の断片の真実とは…ジェーンとの出会いがグエンダの心に勇気を与えます。
第4話 スリーピング・マーダー 2
グエンダは、父のケルヴィン・ハリデイが療養所で自殺したと知りショックを受けます。
療養所の医師は、ケルヴィンは妻を殺したと思い込み罪悪感の為自殺したと言います。
そして、当時の療養所では、皆がケルヴィンの妄想だと思っていました。
その後グエンダは、療養所で書かれたケルヴィンの日記をジェーンに見せます。
グエンダが子供の頃に目撃した殺人事件は、階段下で猿のような手をした男が女性の首を絞めていました。
しかしケルヴィンは、その夜お酒を飲んで意識を失っていたことが分かりました。
そして、彼が目を覚ますと寝室に倒れ、その傍で妻が死んでいたと書かれていました。
その為に、ケルヴィンは自分が殺したと信じ込んでしまったのです。
ケヴィンの日記には「誰か他に男がいたのだ」と書かれていました。
ケヴィンは妻に浮気相手がいると疑っていたのです。
こうして、ジェーンとグエンダ夫妻は、新たな容疑者Xの存在を確信します。
そして3人は、20年も前に起きたスリーピング・マーダー(眠れる殺人)に挑みます…
第5話 バートラム・ホテルにて1
ジェーンは甥のレイモンド・ウエスト(スリーピング・マーダーに登場)の計らいで、ロンドンにある格式高いバートラム・ホテルに2週間滞在する事になりました。
そして、バートラム・ホテルには、ジェーンの顔見知りも何人か滞在していました。
その中に、女性冒険家で有名なベス・セジウィックも宿泊していました。
さあ、ジェーンお得意の人間観察が始まります。
ベス・セジウィックには、2歳の時に別れた娘エルビラ・ブレイクがいました。
その同じ日に、エルビラは後見人のデリク・ラスコム大佐と1日だけバートラム・ホテルに宿泊していました。
長年、セジウィックはエルビラに母親だという事を隠し続けてきましたが、エルビラは母親がセジウィックであると確信していました。
そして、セジウィックが滞在している事を知ると、エルビラは彼女に会いに行きます。
しかし、セジウィックから冷たくあしらわれてしまいます。
そのセジウィックは、若い時から手の付けられないじゃじゃ馬で有名でした。
元レサーのラジスロース・マリノスキーがホテルを訪れ彼女へ伝言を頼んだり、何やら2人は密かに何か計画を立ているようです。
また、ラジスロース・マリノスキーはエルビラとも親しい関係でした。
当然、ジェーンはセジウィックの行動が気にかかります…
するとジェーンは、ホテルのロビーやカフェで何度か見かける男性に声を掛けました。
ジェーンは、彼の行動や態度から警察官だと気づいていたのです。
そして、彼はホテルに疑念を抱いて様子を探っていました。
するとジェーンは「このホテルは出来過ぎている…」と話します。
2人が引っかかる事とは…
第6話 バートラム・ホテルにて2
ジェーンはホテルのカフェで朝食中、また強盗事件が起こり、今度は列車が狙われたと耳にしました。
一方、エルビラは自分の境遇に不満を感じ、弁護士を訪れ遺産について聞き出します。
そしてその後、マリノスキーと落ち合い結婚の約束を迫りました。
誤魔化しきれなくなったマリノスキーは、エルビラに押し切られ結婚の約束します。
ところが、偶然その一部始終をジェーンが目撃していました。
その後、ジェーンはエルビラの事が心配で彼女の後見人ラスコム大佐へ忠告します。
また、ジェーンは隣の部屋に宿泊していたペニファザー牧師が行方不明になっている事を知ります。
そこでジェーンは、ペニファザー牧師の家政婦マクレエ(ジェーンとは知り合い)へ電話して、警察へ連絡するように伝えました。
こうして、いよいよ警察がペニファザー牧師の件でホテルの捜索に入ります。
そして警察は、牧師の事件も含めホテルに抱く疑念も併せて捜査するつもりです。
バートラム・ホテルの何か…とは一体
第7話 復讐の女神1
ジェーンが名付け親になっているライオネル・ピールは、妻から家を追い出されジェーンの元に押しかけてきました。
そんなある日、ジェーンは古い友人で大富豪ジェイソン・ラフィールの死を新聞記事で発見します。
昔、リゾート地を訪れた際にラフィールと出会い、そこで2人は協力しあい殺人事件(カリブ海の秘密)を防いだのでした。
それから、彼はジェーンをネメシスと呼びます…
ジェーンの元にラフィールの弁護士から手紙が届きます。ジェーンにある調査依頼を遺言に書かれていました。
そんなジェーンの様子を遠くから伺う女性がいました…
ジェーンは、ラフィール氏の弁護士に会いに行きます。
弁護士はバスツアーに参加するように言います。しかし、調査の詳細は弁護士も知りませんでした。調査の成功の有無は、その時になれば自然とわかるだろうと曖昧なものでしたが報酬は2万ポンドです。
ジェーンはラフィールの子供について訊ねます。ラフィールには、マイケルという1人息子がいましたが、殺人容疑をかけられていて親子は疎遠だったようです。マイケルは、現在放浪者となっており行方不明で生死も分からないと弁護士は言います。
ジェーンは、弁護士にマイケルの殺人事件を調べるように条件を出し、バスツアーに参加する事を引き受けます。
ラフィールの遺志を受け、ジェーンはライオネルとバスツアーへ出発します。
第8話 復讐の女神2
ジェーンと同じ目的でツアーに参加していたエリザベス・テンプルは、誰かに手紙を出した後、何者かに命を狙われ重傷を負います。
犯罪心理学者のワンステッド教授は、ラフィールの命によりジェーンの見守り役としてツアーに参加していました。ワンステッド教授は内務省付きでマイケルの事件の時には、彼の精神鑑定を行っていました。
エリザベスは一時的に意識を取り戻します。
そしてジェーンに「ヴェリティのことをあの人達に聞いて…お墓に埋もれた真実を」とだけ言い残し息を引き取ります。
ジェーンは、ヴェリティ殺人事件で3つの事を調べる必要があると言います。
マイケルを探し出す事 行方不明になっているノラ・ブレンドの捜査 エリザベスが残した言葉を解く事
ジェーンは、ラフィールの願いを叶える事が出来るでしょうか…
ジェーンを密かにつけ回す2人組の女性の狙いは…
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只今こちらの動画配信サイトでご視聴頂けます
(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
アガサ・クリスティーの解説
シーズン1では主にお金に纏わる殺人事件が多く描かれましたが、シーズン2では偏愛によって起こる殺人事件が描かれていたように思います。
また、シーズン1に登場した個性的な警部は今回はおとなし目で、ジェーンの存在感をより演出していました。
アガサ・クリスティーの作品は、どれも面白く複雑なトリックで犯人探しが難しい!
また主人公がイケメンでなく、老婆だったり太った探偵なところが面白い。
そんなアガサ・クリスティーは、母親から一般的ではない教育方針で育てられました。
学校に通よわずに母親の家庭教育で育ったようです。そんな環境下でアガサは、父親の書斎にある本から多くの知識を得たようです。
アガサ自身は、母の方針を誇りに感じていたようですが幼少期に同じ年頃の友達はいませんでした。
このような特異な経験から世界的ベストセラー作家になったのだと思うと…
人の人生って分からないものですね~!
しかし、ベストセラー作家アガサの人生が常に幸福だったとは言えません…夫の裏切り、離婚、マスコミのバッシング、失踪事件等々
しかし、彼女が残した数々の名探偵やシリーズは、現在でも愛されており全世界で10億部以上出版されています。
人並みの経験では、ベストセラーになるような傑作は出来ないとつくづく実感させられるお話でした。
ミス・マープルと共にクリスティの代表作『名探偵ポワロシリーズ』も
こちら↓で紹介しています。