今回紹介する映画は ロード・オブ・ザ・リング3部作
【ロード・オブ・ザ・リング】2001年公開 アメリカ、ニュージーランド合作 (上映時間 2時間58分)
【ロード・オブ・ザ・リング 2つの塔】2003年公開 (上映時間 2時間59分)
【ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還】2004年公開 (上映時間 3時間21分)
監督、共同脚本:ピーター・ジャクソン
原作:イギリスの文献学者、作家、詩人、イギリス陸軍軍人であるJ・R・R・トールキン(ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン)による長編小説【指輪物語】
前回は、【ロード・オブ・ザ・リング】3部作の製作側をピックアップしましたが、今回はストーリをピックアップして、私なりの解説を交えていきたいと思います。
(以降ロード・オブ・ザ・リング=LOTRに省略)
前回のブログは↓こちら
映画:ホビットのおさらい
【LOTR】では、ビルボ・バギンズの111歳の誕生日から始まります。前日譚の映画【ホビット】でも冒頭同じく誕生日から始まるのです。
原作にはない設定ですが、フロド役のイライジャ・ウッドは、10年後に撮影された【ホビット】で全く同じシーン且つ、同じ年齢のフロド役での出演をしています。
では【ホビット】の冒険とはどんな冒険でしょう…
フロドがガンダルフに言っていた「ドラゴンのあの1件」の冒険が描かれています。
それは60年前のこと
穏やかで争いを好まない保守的な種族ホビット。
その中でもバギンズ家は、好奇心旺盛な一族でした。
主人公のビルボ・バギンスは、穏やかに気ままに暮らしていました。
ある日、旧知の魔法使いガンダルフが訪れ、ドワーフ王国奪還の冒険にかなり強引にビルボを引き込んだのです。
そして、旅の途中でトロルと遭遇し、ネクロマンサー(サウロン)率いるオーク軍との戦い、邪竜スマウグ退治、そして、ネクロマンサーの復活など様々な危機を仲間と共に戦います。
ビルボはその冒険の途中、霧ふり山脈の洞窟で不思議な指輪を拾いました…
ところがビルボは、最後までこの指輪のことを仲間たちに教えず仕舞い。
こうしてビルボは60年間、密かに指輪を隠し持っていたのです。
しかし、ガンダルフは旅の途中からビルボの様子に気づいていました。
勿論、指輪を隠し持っている事も…
ところが、ガンダルフは指輪の事を知らぬふりをし、そのままビルボと別れます。
何故なら、ガンダルフ自身も指輪に触れる事を恐れていました。
きっとガンダルフは、無欲で善良なホビットが指輪を持っている方が最善だと考えたのだと思います。
LOTRを深く理解して観るためにも、【ホビット】3部作を先に鑑賞してから視聴される事をお勧めします。
モリアの坑道で亡くなっていたギムリの親戚バーリンは、【ホビット】でビルボの旅の仲間でした。
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ストーリ解説
原作から補足を足しながら、ザックリ解説を交えていきたいと思います。
ここからはネタバレを含みます。
フロドの重責
【ホビット】で指輪を持ち帰ったビルボ(イアン・ホルム)は、指輪の力によって111歳になっても若々しいままでした。
誕生日の祝いに訪れたガンダルフ(イアン・マッケラン)は、60年前と変わらないビルボに驚きを隠せません。
そして、誕生日の今日、ビルボはホビット庄を出て行く計画です。
ガンダルフは、指輪を置いていくように忠告しますが、ビルボは中々指輪を手放すことが出来ません。
「愛しい指輪…」そう言って指輪に執着しています。
しかし、ガンダルフの説得で渋々手放し、ビルボはホビット庄を後にしました…
その後、帰宅したフロド(イライジャ・ウッド)は、床に落ちている指輪を見つけます。
彼がその指輪を手に取っても全く平気な様子でした。
それを見たガンダルフは、この指輪をフロドに託すことにします。
ガンダルフでさえも指輪の誘惑に勝てないと悟り、ホビット庄から指輪を持ち出すには、指輪の誘惑に負けないフロドがホビット庄を離れるしかなかったのです。
そうです!ビルボが活躍した冒険で安易に持ち帰った指輪の為に、こんどは、フロドが後始末に旅立つ物語なのです。
しかもその旅とは…世界を救うためという、とても重い重責を担う事になってしまったのです。
余りにも過酷な旅にフロドは、モリアの坑道でガンダルフに弱音を吐きます。
「僕が指輪を貰わなければ、こんな旅にも出ず…」
するとガンダルフは「辛い目に遭うと皆そう思うが、どうにもならん。それより今自分が何をすべきか考えることだ」と心が折れそうなフロドを諭した名言です。
そして、このガンダルフの名言こそ【LOTR】のテーマの1つだと思うのです。
サウロンの復活
イシルドゥアによって倒されたサウロンは、モルドールで復活を果たすと、指輪を取り返し中つ国を支配する為に、オークと武器の増産を始め着々と第2暗黒時代の計画を進めていました。
そして堕落したイスタリの長、白い魔法使いサルマン(クリストファー・リー)に、全ての指揮をさせていました。サルマンは、ローハンにスパイを送り込み内部からの崩壊も企てています。
後は、指輪さえ手に入れば中つ国はサウロンの支配下へ堕ちてしまいます。
本来のイスタリの役割とは、サウロン打倒の任務を担った魔法使いのはずでした。
ローハンの解説
ローハン国王セオデン(バーナード・ヒル)は、加齢とともに衰弱し、サルマンが仕向けたスパイ蛇の舌グリマによって傀儡にされていました。後に、ガンダルフによってグリマの呪縛は取り払らわれます。
息子のセオドレドは、オークに殺されてしまいますが、それでもセオデンは正気に戻りませんでした。甥のエオメル(カール・アーバン)は、サルマン率いるオーク軍との戦いを進言しますが、グリマによって国を追放されてしまいます。
姪のエオウィン(ミランダ・オットー)は、弱体していく祖国を案じ、自らも兵士となって戦う決意をしています。
その後、呪縛の解かれたセオデンは、ガンダルフやアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)の進言を聞かず、サルマンの軍勢との戦いを避けヘルム渓谷へ避難する選択をしますが、結局はヘルム渓谷で戦わざるおえなくなります。
戦力は圧倒的に不利な戦いでしたが、エルフやガンダルフの援軍のお陰で、オーク軍を迎い討ちローハンは勝利したのです。
【2つの塔】【王の帰還】を通しローハン国王セオデンは、圧倒的不利な状況下であったペレンノール野の合戦を前に、不退転の決意で挑む勇敢な王となり死んでいきます。
それは、ゴンドールの執政デネソール(ジョン・ノーブル)の無責任さと対比させた、神話の影響を色濃く反映した場面でした。
フロド、サム、ゴラムの旅
流石のフロドも次第に指輪の誘惑に心を病んでいきます。
そして、同じく指輪によって心の病んだゴラム(アンディ・サーキス)と自分を重ねるようになり、ゴラムに対し同情的な感情を持ってしまいます。
サム(ショーン・アスティン)は、そんなフロドを支え続けますが、フロドは指輪の重荷を知らないサムに怒りをぶつけ疑心暗鬼になります。
そして、過酷な旅で満身創痍のフロドを、最後の最後まで献身的に支え続けたのがサムでした。
きっと、サムが居なかったら、指輪を葬る事は出来なかったのでは…
旅の前と後では、すっかりイイ男に成長したサム。
そうです!【LOTR】で一番活躍したのは、実はサムだったのです。
エルフと人間の同盟
原作からザックリ補足していきます。
エルロンド(ヒューゴ・ウィーヴィング)は人間とエルフのハーフです。
この場合、人間の運命かエルフの運命かを選ぶことが出来ます。
また、エルロンドは、ガラドリエル(ケイト・ブランシェット)の義理の息子に当たり、ガラドリエルは、中つ国の中で、最も力のあるエルフでした。
そして、エルフは不老不死の種族で、エルロンドとガラドリエルは第1紀からずっとサウロン率いる暗黒軍団と戦い続けていました。
その中で、何度も人間の王との同盟によりサウロンと戦ってきたのです。
何故ならアラルゴンの先祖エルロスは、エルロンドの双子の兄弟でした。
何だかんだ、王とエルロンドは血縁関係で繋がりがあったのです。
そして、最後の同盟の戦いで、イシルドゥアがサウロンを倒し指輪を奪いましたが、
イシルドゥアは指輪の誘惑に負け葬る事が出来ず、再びサウロンが復活してしまいました。
滅びの山のシーンでは、イシルドゥアとエルロンド、フロドとサムが重ねられ、また同じ過ちを繰り返すの~とハラハラさせられるシーンでした。
アラゴルンとアルウェンの恋
アラゴルンとエルロンドとは遠い親戚だけでなく、アラゴルンが2歳の時、彼の父親がオークに殺されて以降は、エルロンドが彼の保護者でした。
アラゴルンにとってエルロンドは、父親のようなものです。
そして、アラゴルンが20歳になるまで、イシルドゥアの正当な後継者と知らされずに育てられたのでした。
その頃、裂け谷に戻ったアルウェン(リヴ・タイラー)と出会い恋に落ちます。
そしてこの時を境に、アラゴルンは北方の野伏のリーダーとして、荒野をさまようようになります。
ガンダルフともこの時に出会っていました。
アラゴルンとアルウェンの関係を察したエルロンドは苦悩します。
もしアルウェンがアラゴルンと結婚し中つ国で暮らす事になれば、アルウェンは人間の運命を選ぶことになり、エルロンドが中つ国を去れば、二度と会うことがで来ません。
そこでエルロンドは、アラゴルンに条件を出します。
「アルノールとゴンドール両国の王」になった暁には、アルウェンとの結婚を許すと…
そして、アルウェンの結婚後、エルロンドは、フロド達とともにヴァリノールへ出発したため、アルウェンとも今生の別れになってしまいました。
どうしてフロドとビルボはエルフと旅立ったの?
感動のラストシーン。
先ず、何故エルフが中つ国を旅立つのか…
中つ国を人間が支配する時代が訪れたため、エルフは衰退を逃れ、人間には行く事が出来ないヴァリノールに帰還したのです。
そして、指輪の影響を受けたフロドとビルボは、ヴァリノールへ旅することが許るされ一緒に旅立つことになったのでした。
こうして、神話の世界は終わりを告げたのです。
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勝手に私見考察
ジャクソン監督は、何作もホラー映画を手掛けていますので、そのあたりの恐怖感、残忍さの演出は見応えがありました!
そして、残忍さの対極には大自然や感動シーンの連続で涙腺崩壊です。
余りの辛さにフロドは何度も何度も挫けそうになります。
しかし、仲間の支えもあって再び旅に出かけました。
特に、第2部【2つの塔】のラストシーン
オスギリアスで指輪の影響を受けたフロドは、危うくサムに剣を向けてしまいます。
我に返ったフロドは「僕はもうダメだ。サム」と諦めかけた時のサムの名言!
「僕達は深く心に残る物語に入り込んだ気がする…」
「でも、この暗闇もいつかは消え去ってゆくでしょう…新しい日が来ます」
その新たな太陽は、以前より眩しく感じ、それは子供の時には分からなかった。
「物語の主人公達は、決して道を引き返さなかった。何かを信じて…」
「何を信じればいい?」フロドが問います。
「この世には命をかけて戦うに足る尊いものがあるんです」
その言葉を聞いたファラミアは、自身の処刑を覚悟しフロド達を解放しました。
そして、第3部【王の帰還】ではアラゴルンはじめ人間たちが“フロドのために”と死を覚悟の上、モルドールのサウロン軍と戦います。
この【LOTR】を観て感じたことは、連綿と語り継がれた神話には、子供達に人生の生き方や戒めを神々を通して伝えて来たのだと思います。
何故【LOTR】が世界中で評価されたのか分かる気がします。
それは、私たち人類の記憶にある、普遍的価値観を共有できるからではないでしょうか。
【ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪】
Amazon Studios製作の【ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪】では、第2紀が描かれるようです。
ザックリ物語を解説すると
第2紀とは…サウロンがエルフを騙し指輪を作らせました。
そして、サウロンの正体に気づいたエルフは、人間と同盟を組んでサウロンと戦います。
ラストはイシルドゥアがサウロンを倒しますが、指輪の誘惑に負けてしまいます…
この辺りが第2紀の物語です。
どうかファンの期待を裏切らないで欲しいものです!