今回紹介するのは、BBC製作ドラマ:リトル・ドリット
19世紀イギリスを代表する文豪チャールズ・ディケンズ作品のドラマ化(全8話)
ディケンズ作品と言えば、クリスマス・キャロル、大いなる遺産、オリバー・ツイスト等数々の代表作が今もなお繰り返し映像化されています。
リトル・ドリット解説
チャールズ・ディケンズについて
チャールズ・ディケンズは、生まれは中流階級と裕福な家庭で育ちますが、両親とも浪費家で家計は傾いていきます。ディケンズは12歳から親元を離れ工場で働いています。一方、破産した父親は債務者監獄へ収監されました。数か月で出獄したそうですが、遺産が入った為と言われています。
まさに!ディケンズ自身がリトル・ドリットだったのではないでしょうか。
ディケンズ作品の多くは、下流階級の主人公が遺産を手に入れた事で人生が変わっていく様を描いています。
このドラマ以外にも、私が知っているディケンズ作品の多くが、お金に翻弄され不幸になる人、逆に真実の愛を手に入れる人や、贅沢には無関心で人の為に尽くす人…様々な人間模様が描かれ人間の本質をついています。
そして、この作品はエミー賞で高い評価を受けました。
BBCが制作したドラマリトル・ドリットは、2008年のプライムタイム・エミー賞ミニシリーズ最優秀作品賞を受賞しています。
いつも思いますが、BBCのドラマは本当に良作が多いです。
原作のイメージを崩さずストーリーにどんどん引き込まれていきます。やはり脚本が良いんでしょうか。
ディケンズファンも納得の作品です。
キャスト紹介
クレア・フォイが素晴らしい。
私は、リトル・ドリット以外で、ウルフ・ホール(16世紀のイギリス、ヘンリー8世の2番目の王妃役)も視聴しましたが、全く正反対の役柄ですがどちらも彼女の演技に引き込まれます。
その後も、2016年にドラマ『ザ・クラウン』でエリザベス2世役に抜擢され、『蜘蛛の巣を払う女』では、今までのクレアとは全く違う役柄で高い評価を受けました。
とにかく、どの作品も彼女の瞳に引き込まれます。
”瞳で語る演技”が彼女の1番の魅力ではないでしょうか。
こちら↓の作品で新境地を開いたフォイ!
エイミー・ドリット/クレア・フォイ
主人公。マーシャルシー債務者監獄で生まれ父親ウイリアムと暮らしています。虚栄心に苛まれた父親を献身的に支えています。
アーサー・クレナム/マシュー・マクファディン
クレナム夫人の息子。父親の遺言の謎を解くため15年ぶりに帰国します。
エイミーの父ウイリアム・ドリット/トム・コートネイ
借金の為マーシャルシー債務者監獄に20年以上収容され「マーシャルシーの父」と称されています。
エイミーの姉ファニー・ドリット/エマ・ピアソン
エイミーの姉。街で踊り子になり暮らしています。
クレナム夫人/ジュディ・パルフィット
クレナム商会の経営者でアーサーの母親。針子としてエイミーを雇います。
リゴー ( ブランドワ)/アンディ・セルキス
悪党でお金の為には躊躇なく殺人も犯します。
ペット/ジョージア・キング
アーサーをふって画家のヘンリー・ガウワンと結婚します。後にエイミーの親友になります。
あらすじ
クレナム夫人は、使用人夫婦と3人で廃墟のような古い館で暮らしていました。
婦人には夫と息子がいますが、2人は仕事のため中国で暮らし、15年もの間家族は離れ離れでした。
そんなある日、息子のアーサーが突然帰国してきます。
それは、父親が息を引き取る間際「母の過ちを正せ」と懐中時計をアーサーへ託したからでした。
しかし、アーサーの帰国は、縁もゆかりもないドリッド一家の運命を翻弄する事になるのです…
クレナム夫人の秘密
長い監獄暮らしで、劣等感に苛まれ卑屈になっているウイリアム・ドリッド。
彼の娘のエイミーは、そんな父を献身的に支えていました。
エイミーは生活費の足しにと、クレナム商会へ針子として週3回通うことになりました。
そんなある日、15年間外国で暮らしていたクレナム夫人の息子アーサー・クレナムが突然帰国してきます。
しかし、アーサーとクレナム夫人との間には、長年の確執がありました。
アーサーは夫人に再会すると、クレナム商会の仕事を辞める事や父の残した懐中時計の真相を聞き出そうとしますが、
「ただの時計よ」とクレナム夫人は拒んで、彼を寝室へ追い払ってしまうのです。
久しぶりの再会にも拘らず、母親の愛情を全く感じられないままアーサーは部屋を出て行きました。
すると1人になったクレナム夫人は、懐中時計の布切れを取り出します。
そこには“忘れるな”と刺繡がされていました…
その夜
アーサーは、幼い頃の悲しい夢を見ていました。
クレナム夫人は、幼いアーサーと父親にとても厳格な態度で
「罪を背負っている。私に恥と失望を味あわせた」と言って酷っている夢でした…
翌朝
アーサーは約束の10時にクレナム夫人の部屋へ案内されます。
そして彼は、自分を開放して欲しいと夫人にお願いしました。
しかし、夫人は「他に言いたい事は?」と冷たく言います。
アーサーは、懐中時計の真相を訊ねました。
「僕ら家族は過去に過ちを犯したのでは?」
アーサーは、アコギな商売をしてきたクレナム商会が誰かを陥れたのではないかと心配していました。
「なんてことを!」
クレナム夫人は怒って執事のフリントウィンチを呼びます。
そして、怒りのおさまらない夫人は、何とフリントウィンチに仕事を任せると言い出します。
するとフリントウィンチは「感謝します」と言って
夫人が決まった時間に食す牡蠣を運ぶために部屋から出て行きました。
「用が済んだのなら出ておいき」
クレナム夫人は冷たく言うと
息子の別れのキスさえ拒んだのです。
するとそこへ、エイミーが牡蠣を運んできました。
「ありがとう」
クレナム夫人は、まるで別人のように優しい眼差しでエイミーに言葉を掛けます。
2人の様子を見たアーサーは、夫人に妙な違和感を感じました。
そこで彼は、使用人のアフェリーに訊ねようと台所へ行きます。
「奥様の気まぐれで雇った子です。慈善事業なもの」とアフェリーは答えました。
しかし、その答えではアーサーは納得できませんでした。
何故なら、クレナム夫人は慈善事業など全く無縁な人だからです。
「僕らの血縁者か何かでは?」
ところが、アフェリーは全く取り合いませんでした。
そこでアーサーは、今度は顔見知りの情報屋パンクスに、ウイリアムの借金について調べるように依頼したのです。
失恋
エイミーは何度と会ううちに、仄かにアーサーへの恋心を抱くようになりました。
しかし、アーサーは帰国途中の船旅で知り合った、ミーグルズ氏の娘ペット(ミニー)に恋心を抱いています。
ところが、ペットは画家のヘンリー・ガウワンと恋に落ちていました。
そして、父親のミーグルズ氏はヘンリーの事が気に入らず、何とか2人を別れさせようとしていました。
それぞれの恋心が交差する中で…
ある日、看守の息子ジョンは、いよいよエイミーにプロポーズをしたのです。
しかし、エイミーはとても受け入れることなど出来ません。
ジョンは優しいエイミーの気持ちを早合点していました。
「私は結婚はしない」
とエイミーはプロポーズを断ります。
そして、ジョンは失恋のショックのあまり立ち直れず落ち込んでしまいました。
そんなある日
アーサーは、ジョンを不憫に思った父親から、エイミーを説得してほしいと頼まれます。
その後、川辺にいるエイミーを見つけアーサーは、さっそくエイミーに声を掛けました。
エイミーの気持ちに全く気付いていない鈍感なアーサー…
実はこの時
エイミーは、アーサーに他に好きな人がいる事を知り
胸が張り裂けんばかりに打ちひしがれていたのです。
そこへまた、追い打ちをかけるように父ウイリアムと兄ティップからアーサーにお金を無心する手紙が届けられました。
恥ずかしくなったエイミーは、アーサーの前から走り去ってしまいます。
エイミー監獄へ戻ると
ティップは、アーサーから借金の断りの手紙が届き彼を罵り始める始末。
さすがのエイミーも怒りが抑えきれず、ティップに怒りをぶつけ部屋から飛び出してしまいました。
そしてエイミーは、密かに持っていたアーサーのワイシャツのボタンを川へ捨て悲しみに暮れていました…
その頃
アーサーもまた失恋をしていました。
ペットは、ヘンリーとの結婚をアーサーに打ち明けたのです。
ある日
クレナム商会へパンクスが突然訪れると、エイミーにネッドという叔父が亡くなったかと訊ねます。
エイミーが頷くと、パンクスは嬉しそうな顔をして帰っていきました。
その後、パンクスからの知らせによって、ドリット一家の運命が大きく変わる事になります。
お金は人を幸せにするのか…あるいは、不幸に突き落とすのか…
答えはエイミーだけが知っているようでした…
勝手に私見考察
この作品で、主演のマシュー・マクファディンは、お人好しで鈍感なイイ人を演じています。
このアーサー役のマシュー・マクファディンが私は一番好きです。
安定の演技力もさることながら、暗くなりがちなストーリーの中に、コミカルな場面もありアーサーのとぼけた感じを真面目な顔で上手く演じています。
実に味があって上手いです。
BBCのドラマは本当に見応えがありますね。
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