今回紹介する映画は 英雄は嘘がお好き
英雄は嘘がお好き解説
2018年フランス・ベルギー製作 監督:ローラン・ティラール
ローラン・ティラール監督は、ニューヨーク大学で映画の勉強をし、ワーナーブラザーズで仕事をした経験があります。監督業は1999年から始められたようです。(引用先:Wikipedia)
ローラン監督が、アメリカで映画を学び、ワーナーブラザーズで仕事をしていた経験があると知って
この作品が実にフランス映画ぽっくない事に合点がいきました。
正直、フランス映画が苦手です。
話題作を幾つか観た事はありますが…「野生の夜に」「ボンヌフの恋人」「ボバリー夫人(1992年)」等など、古い作品ばかりですが…
名作と言われるこれらの作品。
私には主人公の生き方が全く理解不能で
登場人物は、浅はかなうえ行動が大胆なので後の後悔も大きく、そしてただただ泣き叫ぶ…
イヤイヤ唖然とするばかり…
(もしやこれは、フランス人の感覚からすると普通だったりして?)
だから~フランス映画は苦手だと思っていました。
それでも…リュック・ベッソン監督作品(ニキータやレオン)を観てからチョット印象は変わったんです
監督の作品の中でも特に【フィフス・エレメント】は大好きな作品です(これも古かった~)
そして今回、本作を鑑賞…
すると、意外や意外面白かったんです!
キャスト紹介
とっても魅力的でダンディーだけど胡散臭いヌヴィル大尉役のジャン・デュジャルダンが上手い!
彼はコメディアンとして活動していますから、コメディの演技は流石でした。
また、デュジャルダンとは反対にエリザベット役のメラニー・ロランはコメディー初挑戦
しかし演技派女優の彼女は、コメディもなかなかで
ヌヴィル大尉との掛け合いは、とても面白かったです。
ヌヴィル大尉: ジャン・デュジャルダン
エリザベット・ボーグラン: メラニー・ロラン
ポリーヌ・ボーグラン: ノエミー・メルラン
ボーグラン氏: クリスチャン・ビジュー
ボーグラン夫人: エヴリーヌ・バイル
ニコラ:クリストフ・モンテネ
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あらすじ
英雄か詐欺師か…
1809年、フランスのブルゴーニュ
裕福なボーグラン家は、ヌヴィル大尉の訪問を待ちわびて朝から落ち着きません。
何故なら、大尉は次女のポリーヌへプロポーズするためにやって来るからです。
ところが、大事な日のはずなのに大尉は遅れて到着しました。
そんな大尉を、姉のエリザベットが出迎えます。
エリザベットは、大尉の軽薄で厚かまし態度にイライラしていました。
しかし、エリザベットの辛辣な挨拶にも、大尉は意に介することなくポリーヌへ結婚の申し込みをしました。
大喜びの両親とポリーヌ。
皆が祝福の喜びを分かち合っている最中、大尉宛にオーストリア戦役に配属の知らせが入ります。
そして、別れを悲しむポリーヌが「手紙を…」と大尉にお願いすると
大尉は「毎日書こう、約束する」と言って、大尉は戦場へ出発しました。
ところがその後…何か月経っても大尉からの手紙は一向に届きません。
しかし、そんな大尉の正体を見破っていたのはエリザベットだけでした。
「あの男地獄に落ちろ。ただの遊び人よ、女たらし」と大尉を口悪く罵るエリザベットに対し、
「戦場なのよ、何か事情が」とお人よしの両親は庇うのです。
しかし、ポリーナは悲しみのあまり食事もとらず雨に打たれて、とうとう肺炎にかかってしまいます。
そして、ポリーナを診察した医師は、彼女に何か生きる希望がないと…
と言って匙を投げる始末でした。
そんな妹を見かねたエリザベットはある決心をします…
何と!大尉に成りすましポリーヌへ手紙を書き続けたのでした。
その後、戦争は休戦協定が結ばれ
いよいよ大尉が帰国すると皆が期待します。
ところが、それに慌てたエリザベットは、大尉がインドへ出征し最後の戦いの中で遺書を書いている…
という嘘の手紙をポリーヌへ送り大尉を戦死させてしまったのです。
そして何と!最後に大尉は英雄に仕立て挙げられたのでした。
終わりよければ全て良し…エリザベットは悲しむポリーヌに、新しい交際相手にとニコラを引き合わせます。
すると…その後2人はとんとん拍子に進み、ポリーヌは気弱なニコラと結婚することになり
めでたしめでたしと思っていました。
しかし…1812年
町へ買い物に出掛けたエリザベットは、偶然ヌヴィル大尉を見かけます。
彼は、以前とは全く別人のようになっていました。
髭は伸ばし放題、服はボロ…まるで浮浪者のようです。
そんな大尉にエリザベットは驚きますが、彼の後をそっと後を付けました…
ところが、尾行が大尉にバレてしまいます。
再会に喜んだ大尉は、ポリーヌに会いに行こうとしました。
そこで、エリザベットは今までの手紙の経緯を話し、ポリーヌは既に結婚し子供も2人いる事を大尉に告げます。
そして、大尉が英雄として戦死したことや…町が建てた彼の立派な墓を見せます…
エリザベットは大尉にお金を渡し、町から出て行くように説得しました。
すると、大尉はエリザベットに従い町から出て行ったのでした。
ところが翌日
町では、何故か大尉が帰還したと噂が広がっていました。
それを聞いたボーグラン家は大騒ぎ
そこへ、あの英雄ヌヴィル大尉がさっそうと馬に乗り屋敷に姿を現したのです…
英雄となったヌヴィル大尉の本当の魂胆とは…
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勝手に私見考察
ヌヴィル大尉は英雄か…それとも詐欺師か…最後の最後まで分かりません
後は、視聴者の想像次第…実にオチのあるラストで面白かったです。
単にハッピーエンドでは終わらない…ここはフランスらしい
ここからはネタバレを含みます
エリザベットは内心良く思っていませんでしたが、ヌヴィル大尉が周りの人達に嘘の武勇伝を話す事を黙認しています。
しかも、時には援護したり2人で手紙の内容通りの武勇伝になるように練習までして!
きっと、彼女にとって英雄ヌヴィル大尉は自分が作った!
という気持ちが強く、彼女の作品そのものが大尉になっていたのだと思います。
そして、その英雄ヌヴィル大尉のイメージを守りたい一心だったのではないでしょうか。
根っからのペテン師ヌヴィル大尉は、直感的にそんな彼女を利用できると閃いたのでしょうね。
後は嘘に嘘をを重ねて行きく事になります。
何より、周りの人達は疑う事を知らない純粋無垢な人ばかりです…その後大尉は勲章までもらえる始末でした。
エリザベットVSヌヴィル大尉
エリザベットは、調子に乗るヌヴィル大尉を何度か陥れようとしますが、
その度に彼は危機を切り抜けてしまいます。
このヌヴィル大尉の生きていく術のような図太さは中々見応えがあり面白いです。
そしてその後、ダイヤモンド投資の詐欺話を始める大尉に流石のエリザベットは焦ります。
他の武勇伝の嘘とは訳が違ったのでしょう
皆のお金が絡み被害が大きくなってしまいます。
そして、とうとうエリザベットは、大尉を追い出そうとします。
何と!意を決してフランス軍の本物の将軍を昼食会に招待してしまうのでした。
大尉の真実は、脱走兵だったのです。
将軍にバレてしまえば、当然捕らえられ殺されてしまうのです。
その時、将軍はエスリンクの戦いを大尉に尋ねると、彼は戦いの惨状を語り始めました。
それは、とても悲惨な戦場でした…
ここでヌヴィル大尉が将軍に話すエスリンクの戦いとは、ナポレオン戦争の中の1つの戦いで、ナポレオンが自ら指揮を執り敗戦した数少ない戦いのことです。そして、ドナウ川が戦場でした。
最後に大尉が走って逃げたと話すと…将軍は笑って冗談だと受け流します。
しかし、かなり厳しい戦いだった訳です…
もしかしたら、将軍は脱走兵だと聞きたくなかった…
何も聞かなければ見逃してくれたのかもしれませんね。(これはあくまで私の推測です…)
この昼食会をきっかけに2人の関係は深まる訳ですが、
それでも、2人はとてもドライでした。
ヌヴィル大尉の本心はエリザベットにかなり夢中
大尉は、コサック兵の襲撃の時もエリザベットを連れて逃げ出そうとしましたが、
逆にエリザベットに「さよなら大尉」とがっかりされ、彼は無謀にも一人でコサック兵に立ち向かいました。
そして、そのお陰でエリザベットの気持ちをゲット出来たわけですが
ヌヴィル大尉がエリザベットに言ったセリフ
「世間が人を作る。浮浪者扱いなら浮浪者に歓迎されるなら立派な紳士に」があります。
結局、英雄ヌヴィル大尉を作ったのは、エリザベットだった!
大尉自身も分かっていたんですね。
いつしか、大尉にとってエリザベットは特別の存在になっていました。
詐欺師が命を懸けたのですから…
しかし、ラストのオチは実にヌヴィル大尉らしい…
これからはフランス映画も選択肢に入れようと思わせてくれるフレンチ・コメディでした。
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