今回紹介する映画は エール
2015年フランス、ベルギー合作映画 監督:エリック・ラルティゴ
原題:ラ・ファミーユ・ベリエ 上映時間:105分
フ…フランス映画で初めて感動した!
今まで観たフランス映画で間違いなくNO.1(あくまで主観です)
確かに、日本とは国民性が違いますので
う~む?な所はありますが…
タカラジェンヌも歌ったシャンソン曲(愛を求める情熱的な歌)を高校生に歌わせるところも…実にフランスらしい
それでも最後まで楽しく見る事が出来るハートフルコメディ作品です。
アメリカ映画のリメイク版【コーダ あいのうた】は、アカデミー賞で最優秀作品賞を含む3つの賞を受賞しました。また、舞台ミュージカル作品も製作されるようです。
私は、まだ【コーダ あいのうた】は鑑賞していませんが、鑑賞しました。何かと比較されるオリジナル版。
【コーダ あいのうた】もこのブログで紹介しています↓
今回は、フランス映画が苦手な私が【エール】推しで行きたいと思います!
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(配信は投稿時のものとなります)
キャスト紹介
主人公ポーラ役のルアン・エメラ大抜擢
何と、彼女自身がシンデレラガールだった!
2013年のフランスで開催される歌のコンテスト“ la plus belle voix”のセミファイナリストになった事で【エール】の監督エリック・ラルティゴの目に留まり、見事ポーラ役をゲットしました。
演技の経験もないエメラは、いきなりの大抜擢でかなりのプレッシャーと戦ったと思いますが、ラストのコンクールでのシーンは、自身の実体験が重なったのでしょうか…
彼女の歌にとっても感動を覚えました。
エメラはこの作品の演技が評価され、セザール賞最優秀女優賞を受賞しています。
新人のエメラの脇をベテラン俳優で固めたキャスティングになっています。
また、親友マチルド役のロクサーヌは、こちら↓のイギリスドラマにも出演しています
ポーラ・ベリエ/ルアン・エメラ
主人公の16歳の高校生。4人家族の中で唯一の健常者。特に酪農家の両親の通訳や牛の世話などを手伝い家族を支えています。
ロドルフ・ベリエ/フランソワ・ダミアン
ポーラの父親。聾啞でありながら叔父の農場を継ぎ、現村長の政策に不満を抱き村長選挙に立候補するなど、かなりアグレッシブな性格。
ジジ・ベリエ/カリン・ヴィアール
ポーラの母親。聾唖のハンディをものともせずオシャレで家事も手を抜きません。ロドルフともアツアツの夫婦です。
クエンティン・ベリエ/ルカ・ゲルバーグ
ポーラの聾啞の弟
ファビアン・トマソン/エリック・エルモスニーノ
ポーラの高校の音楽教師。ポーラの才能を見出します。
マチルド/ロクサーヌ・デュラン
ポーラの親友
ガブリエル・シェヴィニョン/イリアン・ベルガラ
ポーラと同じコーラス部の部員。ポーラの片想いの相手。
あらすじ
フランスの片田舎ラセ村で酪農を営むベリエ一家。
一家は長女のポーラを除いて、聴覚障害のハンディキャップを抱えていました。
その為、業者との電話交渉や手話通訳として、ポーラは家族を支えていました。
そんなポーラは、まだ高校1年です。
今日は、所属クラブを決めなければいけません。
各クラブの受付には、生徒たちの列が並んでいました。
そして、その列の中にポーラが片思いをしている、ガブリエルの姿を見つけます。
横では、親友のマチルドが迷っていましたが、ポーラは迷わずガブリエルと同じコーラス部を選択します。
突然のポーラの行動にマチルドは驚きますが、ポーラの気持ちを察した彼女は、パリ出身のガブリエルは止めた方がいいと忠告しました。
ところが、ポーラは押し切って2人はコーラス部の試験を受ける事に…
それから、数日後の試験の日。
顧問で音楽教師のトマソンは、生徒1人づつの歌を聞いて合否を決めていきます。
そしていよいよ、マチルダの番に…
ところが、マチルダは一小節も聞いてもらえず不合格になってしまいました。
その事に反感を抱いたポーラは「くだらない」と怒って試験を拒否しますが、
何故かトマソンは…
「アルトだ。合格」と歌も聞かずポーラを合格にしたのです。
その後
学校から帰宅したポーラは、母のジジに腕を掴かまれ強引に居間に連れて来られます。
TVでは、ラピデュス村長がラセ村の工業化プロジェクトを発表していました。
仕方なくポーラは、TVの横に立ち通訳を始めます。
村長の計画は、ラセ村に食品工場を誘致して雇用を増やし、併せて村の商業化も進める予定でした。
それを知った、ロドルフとジジは怒り出します。
農場を奪われてしまう!
そして何と!ロドルフは家族で団結し3か月後の村長選挙に立候補すると言い出します。
〈俺達家族は1つだ〉
〈パパは最強さ〉弟のクエンティンも賛成です。
ところが…ポーラは悩みます。
その後、ポーラの様子に気づいたロドルフは、ポーラをトラクターに乗せて説得を始めました。
〈耳が聞こえないのは個性だ。オバマは黒人だぞ〉
ロドルフは、肌の色は障害にならなかったと何事もポジティブに捉えていました。
そして、ポーラもロドルフの決意の固さを知り選挙の応援する事にします。
2人は、麦を刈るトラクターの中で、仲良く寄り添い合いました。
その後、ロドルフの立候補者登録を済ませると
彼はオランド元大統領の著書を、ジジはジャックリーン・ケネディの伝記を読み始め、クエンティンはポスター作りに励み、選挙戦の準備が始まりました。
元気な家族とは反対に、ポーラの高校生活は…
コーラス部の練習の直前、ガブリエルと嫌いな同級生とのキス現場を目撃してしまったポーラ。
彼女は、惨めな気持ちのまま練習が始まってしまいました。
そして、トーマスが決めた発表曲の練習が始まります。
何故かトマソンは、ポーラを前に呼んで呼吸法や発声練習をさせました。
まるで個人レッスンです。
しかし、次第に声が出始めると、自分の大きな声量に驚き恥ずかしさのあまりに、ポーラはその場から逃げ出してしまいます。
「いい声だ」
トマソンは、出ていくポーラの背中に向かって声をかけました。
しばらくしてポーラが荷物を取りに教室に戻ると、部員達の姿は既に無く、トマソンはガブリエルに歌の指導をしていました。
すると、トマソンはポーラを呼び止め
「君の中で何かが目覚めつつある」
そう言うと、トマソンはデュエット曲“愛の叫び”を年末の舞台でやると言って、ガブリエルとポーラに楽譜やデモテープを2人に渡します。
ガブリエルも「是非」とデュエットをやる気でした。
そして、ポーラは余りにも唐突なことに戸惑ってしまい、部屋を出ると床に座り込んでしまいます。
すると、部屋の中からトマソンの伴奏とガブリエルの歌声が聞こえてきました。
“逃げるんじゃない。飛び立つんだ。酒もタバコも捨てて飛ぼう…”
ポーラの中で何かが芽生え始めた瞬間でした…
続きは本編で!
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勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
今まで何作かのヨーロッパ諸国の作品を観て来ましたが
いつも感じるのは
ストーリーは大雑把に描かれ繊細さの感じられない作品といった印象です。
ところが、この大雑把なところが、ハリウッドがリメイクしやすい所かもしれませんね。
また、非常に個人主義であり親子関係もドライ。
子供よりも親の優先度がかなり高い国柄だと思います。
おまけに、他人に対しても厳しく、言いたい事を遠慮なくズバット言います(翻訳のせいかな?)
これが全ての人に当てはまるとは思いませんが、映画やドラマを観た感想なのです(登場人物の粗暴感が半端ない)
日本人とは、考え方や感覚がかなり違っているなと、毎回感じていました。
ですが、この違いが面白い!わけです。
では、【エール】はどうでしょうか?
そこで…
大雑把なストーリーに考察を交えて【エール】を深堀してみる
この【エール】では、聴覚障害を持つ家族が力強く生き生きと描かれています。
障害は個性だ!ロドルフのポジティブな言葉は胸アツでした。
ですが…対照的に陰に描かれていたのが
- 家族を支える為に自己犠牲を強いられてきたポーラ
- 父子家庭で母親を知らず、祖母の家に預けられっぱなしの孤独なガブリエル
- 学長に嫌われ10年間田舎の高校で音楽教師をしているトマソン
彼らは鬱積した心と葛藤しながら、ポーラのコンクールへの夢を一緒に叶えます。
健常な彼らが悩み、障害を抱えるベリエ一家が酪農業や村長選に果敢に挑む姿の対比がハッキリとしていました。
べリエ一家は、酪農業を営み生計を立てて自立しています。
いつも描かれるパターンとは、違った真逆の視点からの描き方が、新鮮で面白かったです。
障がい者は弱者で守られる人たちから、障害は個性であって決して弱者ではない!とメッセージを感じました。
こうした視点から、ラストのコンクールでのポーラの歌唱シーンは涙腺崩壊です!
家族を支え自我を抑えてきたポーラの成長を通して、親離れ、子離れをハートフルに描いた感動のフランス作品でした。