今回商品映画は ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
2019年公開 アメリカ合衆国のミステリ映画 監督・脚本・製作:ライアン・ジョンソン
原題:Knives Out 上映時間:130分
2010年のインタビューでジョンソン監督は「アガサ・クリスティの推理小説を思わせるようなミステリ映画を撮ってみたい」と言っていたとおり
本作は『ナイル殺人事件 』、『オリエント急行殺人事件』などクリスティの代表作を始め『Mr.BOO! ミスター・ブー』のようなコメディなど様々な作品を参考にし製作されたようです。
それでは、監督、脚本を務めたライアン・ジョンソンの紹介から
監督紹介
ライアン・ジョンソン
ライアン・ジョンソンは、アメリカ合衆国の映画監督、脚本家。彼の長編映画監督デビュー作『BRICK ブリック』は、映画監督の登竜門サンダンス映画祭(2005年)で上映され、審査員特別賞を受賞しています。監督の代表作には『LOOPER/ルーパー』(2012)『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2016)などがあげられますが、特に『SW/最後のジェダイ』は不評な作品となってしまいました。そして、本作も賛否両論な作品となっています…
低評価なジョンソン監督ですが、
個人的には『LOOPER/ルーパー』(2012)は、ストーリーが深くて見応えのあるSF作品で面白かったです。
また、この作品も同様に彼が監督、脚本を務め、キャストはブルース・ウィリス、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、エミリー・ブラントと実に豪華でした。
ただ『SW』でのコケタ感が尾を引いているかな~
続編情報
本作『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は興行的に成功を収め、アカデミー賞脚本賞ノミネートも果たしました。
それによる争奪戦の結果、第2弾および第3弾の配給権をNetflixが勝ち取り、2022年12月から続編『ナイブズ・アウト グラス・オニオン』が独占配信されています。
どうやら、ジョンソン監督もシリーズ化を狙っているようなので今後も楽しみな作品ですね。
キャスト紹介
個人的に ジェイミー・リー・カーティスの演技を久々に観れて楽しめましたし、しかし、カーティスはいくつになってもスタイル抜群で羨ましい~
また、ジョセフ・ゴードン=レヴィットがどこかでカメオ出演している所も面白い。わかるかな~
(答え:マルタの妹アリスがDVDプレイヤーで見ているドラマの探偵ハードロックの声)
捜査関係者
ブノワ・ブラン/ダニエル・クレイグ | 著名な名探偵 匿名の人物からの依頼を受け事件を捜査することに |
エリオット警部補/ラキース・スタンフィールド | 地元の刑事 |
ワグナー巡査/ノア・セガン | ハーラン作品のファンで地元の警官 |
スロンビー一族と関係者
マルタ・カブレラ/アナ・デ・アルマス | ハーランの献身的な看護師 母親が不法移民 嘘がつけない性格で嘘をつくと嘔吐してしまいます |
ハーラン・スロンビー/クリストファー・プラマー | 著名なミステリー作家 85歳の誕生パーティの翌朝に遺体で発見されます |
ヒュー・ランサム・ドライズデール/クリス・エヴァンス | ハーランの孫でリンダとリチャードの問題の多い息子 ハーランの誕生パーティの日に彼とケンカしています |
リンダ・ドライズデール/ジェイミー・リー・カーティス | ハーランの長女でリチャードの妻 不動産会社を経営しています |
リチャード・ドライズデール/ドン・ジョンソン | リンダの夫でランサムの父親 |
ウォルター・スロンビー/マイケル・シャノン | ハーランの次男でドナの夫 父親の出版社のCEO 経営方針でハーランと意見が対立しています |
ジョニ・スロンビー/ トニ・コレット | ハーランの亡き長男ニールの未亡人でメグの母親 ハーランの援助で生活しています |
メーガン・(メグ)・スロンビー/ キャサリン・ラングフォード | ハーランの孫でニールとジョニの娘 大学生 |
ワネッタ・スロンビー/K・カラン | ハーランの母親 |
ドナ・スロンビー/ リキ・リンドホーム | ウォルトの妻でジェイコブの母親 |
ジェイコブ・スロンビー/ ジェイデン・マーテル | ハーランの孫でウォルトとドナの息子 |
フラン/エディ・パターソン | ハーランの家政婦 ハーランの遺体の第1発見者 |
あらすじ
マサチューセッツ州にある著名な推理小説家ハーラン・スロンビー邸宅
ハーランは、85歳の誕生日パーティーの翌朝
死体となって発見されました。
第一発見者は家政婦のフランで、彼女がいつものように朝食を運ぶと
ハーランが部屋のソファで亡くなっているところを発見したのです。
床にはナイフが落ちていて、彼の首からはおびただしい量の血が流れていました…
ハーランの死から1週間後
ハーランの看護婦だったマルタ・カブレラは、うなされていたのか大量の寝汗をかいて目覚めました。
『人でなし 彼を殺したのね』
狭いアパートのキッチンでは、妹のアリスがDVDプレイヤーでお気に入りのドラマを観ています。
『顔を切り裂いて失血死させた上に・・・』
テーブルでは、マルタが気にした様子も無くPCを見ていますが、
母親のカブレラは、ドラマのセリフに気が気ではありませんでした。
「アリスやめて」
「もう終わる」
「やっと 犯人の正体が…」
「やめなさい 今すぐ」
マルタの気持ちを察しないアリスに、カブレラは語気を強めて言いました。
「ただのドラマじゃん」
しかし、アリスも引けずに2人は言い合いになります。
「姉さんのお友達が亡くなったばかりなのよ 無神経すぎる」
そう言われてアリスは、苛立ちながらもDVDプレイヤーを閉じました。
「気にせず見て」
そんな状況に、マルタもため息をついてアリスに言いました。
その時、マルタのスマフォが鳴ります。
それは、ハーランの息子ウォルトからの着信でした。
「やあ マルタ 屋敷に来てくれ 警察が改めて話を聞きたいと」
マルタは急いでハーランの屋敷に向かいました。
「失礼 そちらは使用人の方?」
マルタが車から降りると、警官に呼び止められました。
「祖父の看護師だったマルタよ 使用人じゃない」
ちょうど、マルタを出迎えに出て来たハーランの孫メグは、それを聞いて警官に腹を立てたようです。
「いいの 平気」
マルタはメグを宥めました。
「ダメだよ 失礼な奴」
そして、マルタとメグはお互いを慰め合うようにハグしました。
「調子どう?」
メグはそう言って、電子タバコの煙を吐きます。
「毎日 寂しくて泣いてばっかり この先 どうすれば…」
マルタは泣きはらした赤い顔でメグに言いました。
「何でも うちに頼って 家族の一員でしょ」
「ありがとう」
しかし、メグの優しい言葉を聞いても、マルタの心は晴れることはありませんでした。
すると玄関ドアが開き、ハーランの長女リンダが出迎えてくれました。
「リンダ お元気でした?」
リンダは天上を見上げて首を振ると
「葬儀が終わって 少し落ち着いたわ あなたも呼びたかったけど…」
2人が慰め合っていると、リンダの夫リチャードがスマフォに向かって怒鳴っている声が聞こえます。
「来ないとさ」
スマフォを切ったリチャードは、まだ怒りが収まらない様子でリンダに言いました。
「ランサムだ 葬儀も欠席」
どうやら、リンダとリチャードは息子のランサムに相変わらず手を焼いているようです。
「すみません」
そこへ、捜査にあたっている刑事がやって来ました。
「1人ずつ お話を伺っても?」
「いいわ 私から 夜の追悼式までには終わるでしょ」
そう言うと、リンダは率先して行きました。
「やあ 元気だったか?」
残ったリチャードはスマフォをいじりながら
社交辞令のようにマルタに言いました。
リンダの前には黒人の刑事が椅子に座っていました。
先ず、彼は自己紹介から始めます。
「改めまして 警部補のエリオットです 彼はワグナー巡査」
先ほど呼びに来たワグナー巡査はエリオット警部補の後ろに立っています。
「後の検証のため録音させていただきます」
エリオット警部補は形式的な説明をするとスマフォを机に置き聞き取りを開始しました。
「最初はリンダ・ドライズデール 故人の長女 ハーランの死は1週間前の晩 11月8日」
「お悔やみを」
後ろで立っていたワグナー巡査が優しく声をかけました。
「ありがとう ご親切に」
「当日は お父様の 85歳の誕生日パーティーでしたね」
エリオット警部補が続けます。
「どうでした?」
「父の“死亡直前パーティー”? 最高だった」
リンダは皮肉を交えて答えました。
「ご家族以外には?」
エリオット警部補は、メモを見ながらリンダに質問をします。
「家政婦のフランがいた それに父の看護師マルタ よく働く子よ 親はエクアドル移民
祖母のワネッタもいた 父の母親よ」
「故人の?おいくつです?」
エリオット警部補は、高齢のワネッタに驚き聞き返しますが
「誰も知らない」
とリンダが答えました。
「OK ご子息のランサムも出席を?」
「一瞬だけね」
誕生日パーティの夜、ランサムとハーランは書斎で何やら話し合っていました。
しかし、ランサムは部屋から出て来るとそのまま玄関に向かいます。
「ランサム もう行くのかい」
ドアの横に座っていたワネッタがランサムに声をかけますが、
彼は見向きもせずそのまま出て行ってしまいました。
その時…
パ~ン
今までエリオット警部補の奥で黙って座っていた男が
行き成りピアノの鍵盤をたたいたのです。
何やらエリオット警部補が気まずそうな様子です…
続きは本編で!
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
「アガサ・クリスティの推理小説を思わせるようなミステリ映画を撮ってみたい」
と言っていたジョンソン監督。
しかし、この作品を観たクリスティファンなら思ったはずです!
名探偵ブノワ・ブランの存在感が弱い!
何故なら、ラストに犯人を自白させるように謀ったのは…
名探偵ではなく犯人に貶められたマルタであり、全編で常に彼女の方がブランの一歩先をリードする展開
クリスティ作品の名探偵ポアロやミス・マープルならば犯人の些細なミスや矛盾を見逃さず、マルタの危機を救い
真犯人を暴き鮮やかに事件を解決するのですが…
ブランの場合、全てが彼の推論だけ?
真犯人にぐうの音も出ない程の根拠に乏しかったのでは…
例えば、同じようにクリスティをリスペクトしたBBCドラマ『ミステリ・イン・パラダイス』はそこをしっかりと抑えて、10年も続く人気ドラマになっています。
こちらも紹介しています↓
とは言え、前半で犯人が分かる設定か…と思いきや2転3転の展開は良かったし
この作品のテーマと思える
因果応報!
を描き勧善懲悪なところは面白かったです。
マルタは85歳のハーランも信頼を寄せられる無欲な善人でした。
それとは対照的に、スロンビー一族は金に群がる人間ばかり。
そして、どんなに窮地に立たされてもマルタは自分の正義に従い行動した事で、
犯人の罠にハマらず自らを救ったのです。
そうなんです!
悪人が善人をハメる事なんてできないんだ!
正義は勝つんだ!
とジェイソン監督は描きたかったのではないでしょうか。
それ故に、マルタがブランを食ってしまったかな~