今回紹介する映画は ホビット決戦のゆくえ
2014年日本公開 アメリカ、ニュージーランド合作 監督:ピーター・ジャクソン
原題:The Hobbit: The Battle of the Five Armies(直訳:5軍の戦い) 【ホビット】シリーズの最終章です。
【ホビット】シリーズ 作り上げられた世界観
【ホビット】シリーズでは、様々な種族が登場します。
ドワーフ、エルフ、人間、ホビット。種族によって生活様式や使用する武器、衣装など詳細に考えられていました。
1.それぞれの文化的デザインコンセプト
それぞれの種族のデザインコンセプトは単純な成り行きのものではなく、各々の生活様式から徹底的に考察され作り上げられています。
2.構築された世界観は、世界中に影響を与えた。
あらすじ
人間VS邪竜スマウグ
トーリン達のエレボール奪還に怒ったスマウグは、予言通りに湖の町・エスガロスを襲い始めます。
逃げ惑う人々に容赦なく炎を吹き出し、瞬く間にエスガロスは火の海になりました。
エスガロスの統領は、船に乗り切らない程の金や宝石を積み我先に逃げ出していました。
その頃、投獄されていたバルドは、自力で脱出すると、街の鐘塔に登りスマウグに向かい矢で抗戦します。
しかし、堅い鱗のスマウグに弓矢は全く歯が立ちません。
そこへ息子のバインが“黒い矢”を持ってバルトの応援に助けに来ました。“黒い矢”は、スマウグの鱗を射抜く事が出来る唯一の武器です。
立ちはだかるバルト親子に向かって、スマウグは襲いかかってきました。
しかし、黒い矢はこれ迄の戦で既に壊れています……
バルトは咄嗟に柱と柱に弦を張り、バインの肩に“黒い矢”を置き照準をスマウグに合わせました。
バルトが放った“黒い矢”は、かつてバルトの父がスマウグの鱗に付けた傷跡に刺さります。
そして、矢は見事にスマウグの身体を射抜き、息絶えたスマウグは地上へ落下して行きました。
するとエレボールの大鴉が山に戻って行きます“いにしえの鳥がエレボールに戻る時、獣の時代は終わる”
大鴉はスマウグの時代の終わりを告げていました。
戦の始まり
生き残ったエスガロスの人々は、バルトがスマウグを退治したことで彼を統領として祝福しました。
しかし、バルトは統領を探して辞退しようとしますが、統領の腰巾着だったアルフリドがバルトを称賛し始めます。
しかし人々は、統領とアルフリドが、われ先に逃げ出した事を知っていました。
「吊るし首だ」と怒りの矛先がアルフリドに向けられます。
バルトは、皆を制止し訴えます「周りを見ろ。さらに死人を出したいのか?冬が迫っている。皆で生き延びよう」
その頃、傷の治ったキーリと兄のフィーリ、寝坊して出発に遅れたボフール、キーリの治療をしていたオインがエレボールに到着していました。
しかし、そこには誰の姿も見えません。
大声で呼んでいるとビルボが慌てて出てきました。
「止まって!引き返せ。皆で戻ろう!」
「着いたばかりだ」
と驚く4人に…
ビルボは、この場所のせいでトーリンの様子がおかしくなっているとこれまでに起きた出来事を話しました。
その時、フィーリは何かに目を止め階段を降りて行きます。皆が後に続くと……
そこには、金貨で埋め尽くされた大広間にトーリンが1人で立って居ました。
彼は、祖父スロール王のように金に憑りつかれまるで別人です。
ドワーフの仲間達は、久しぶりの再会を喜び合いました。
しかし、それも束の間…大広間の金貨の中からアーケン石を探し始めます。
トーリンは「見つかるまで休むな」と容赦なく命令を出します。
ビルボは、迷っていました。
スマウグからアーケン石を奪った時…
アーケン石に心を蝕まれ、トーリンが堕落していく姿を見たいと
スマウグが言っていた事を思い出していました。
心を蝕まれているトーリンにアーケン石を渡していいものか……
街の再建を考えるバルトは、人々と共にエレボールへ行く事を考えていました。
エレボールには、人々が寒さをしのげる建物があり、トーリンは金貨を分け与えるとエスガロスの人々と約束していました。
バルトは、再建できる金額があれば十分だと考えていました。
バルトとアルフリドの話を聞いていたレゴラスは「竜の死は中つ国に直ぐに知れ渡る。財宝を求めて戦になる」とバルトに忠告します。
そしてレゴラスは、不穏な空気を感じ取っていました。
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(配信は投稿時のものとなります)
ストリー解説と勝手に私見考察
ここからは、ネタバレも含む解説となります…ご注意ください。
王の品格とは……
トーリンの場合
トーリンは、邪竜スマウグにエレボールを追われてからは、人間の街で働く等辛い経験をし、簡単に心を許さなくなっていました。
復讐心こそがトーリンの生きるエネルギーとなります。
エレボール奪還に成功したトーリンは、独占欲や猜疑心が増し今まで苦労を共にしてきた仲間さえ信じれ無くなって行きました。“竜の病”を罹ったトーリンは祖父スロール王と同じ道を歩むのか…
バルトが湖の町・エスガロスの人々とデイルに到着すると、トーリンはエレボールの門を封鎖し約束を反故してしまいます。
王の名誉や人命よりも金貨が大切と戦争を選択してしまいます…
しかし“竜の病”から立ち直った後のトーリンは、ドーワーフ王国の王として最前線で戦い、自らの命をかけてアゾクを倒し伝説の王となります。
ビルボに看取られるシーンでは、「皆が、もっと黄金よりも…家を愛すれば…世界はもっと楽しい場所になる」と言い残しています。
苦難の道を歩んだ王の最後の言葉は、この作品の一番伝えたいメッセージなのではないでしょうか。
スランドゥイルの場合
今までは他国の情勢に全く干渉しませんでしたが、スマウグが退治されたと知ると軍を率いてエレボールに出陣します。
そして、家宝の“ラスガレンの白い石”を奪い返すことを目的にドワーフ軍との戦争を選択します。
5軍の戦いので多くの死者を出したエルフ軍。スランドゥイルは、その様を目の当たりにして戦いの最中にも拘わらず軍の撤退を命じます。
タウリエルは、ドワーフの援軍に行くように訴えますが、スランドゥイルは冷徹な態度でした。
「あなたには、愛の欠片もない」とタウリエルは怒りますが、スランドゥイルは、「若者(キーリ)への愛は本物ではない。死ぬ覚悟はあるのか?」と問います。
戦いの後、タウリエルは、キーリの死を悲しみ「これが愛なら、愛などいらない。消し去って」とスランドゥイルに懇願します(スランドゥイルは記憶を消す事も出来るようです)
しかし、「なぜこんなにも辛いの?」と悲しむタウリエルへスランドゥイルは「何故なら、本物の愛だからだ」と愛を説き記憶を消しませんでした。
スランドゥイルも、アングマール王国と戦った時にレゴラスの母を亡くしています。墓もない、何も覚えていないと言っていたレゴラスですが、スランドゥイルは息子の悲しみを思い記憶を消したのかもしれません。
他国の情勢に無関心だった王スランドゥイルは、戦いで愛する妻を亡くした為に頑なに争いを避けていたことが分かります。
家宝の“ラスガレンの白い石”は、妻の形見であり、闇の森にあった女性の石像も彼の妻の像ではないかと私は思っています。
バルドの場合
デイルの王家の末裔。
生き延びた湖の町・エスガロスの人々を守る為リーダシップを発揮します。トーリン達を信じデイルへ避難しますが、トーリンが約束の金を反故にした為仕方なくスランドゥイルと手を組み戦う事を選択します。
バルトは、デイルの王家の末裔でありながら統領になる事を辞退しました。彼は、子供達の為に辞退していたのです。
LOTR・王の帰還では
ゴンドールの王となったアラゴルンは、フロド達ホビットに膝ま付き頭を垂れて帰還の礼を示しました。
全てが繋がっている世界観が本当にファンの期待を裏切りませんね。
【ロード・オブ・ザ・リング(LOTR)】の伏線
サルマンは、既に企んでいた
ドル・グルドゥアでネクロマンサーに捕まったガンダルフは、ガラドリエル、サルマン、エルロンドに助け出されます。
ネクロマンサーの正体サウロンを誘き出しガラドリエルのパワーでサウロンは東へ逃げて行きました。
止めを刺そうと言うエルロンドにサルマンは、ガラドリエルを労わる方が先だと言い「後は私に任せよ」と意味深なシーンで終わっています。
ミスリルの鎖かたびら
トーリンから貰ったミスリルは、後にビルボからフロドへ渡されフロドの命を守ります。
スランドゥイルが、レゴラスに教えた人物
戦いが終わった後、森には帰らないと言うレゴラスにスランドゥイルはこう言います。
「ドゥネダインを捜せ…その中の1人の若者と会え。父のアラソルンは良き長だった、息子は偉大な長となろう…皆は“ストライダー”と…真の名は自分で知るが良い」
そして、レゴラスはLOTRへ旅立ちます。
【ロード・オブ・ザ・リング】最新作テレビドラマ版情報
2022年9月にアマゾンスタジオ製作のドラマ版LOTRの配信開始が予定されます。
Amazon primeにて毎週1話ごとの配信予定です。詳しい内容は、まだ発表されていませんが【ホビット】【ロード・オブ・ザ・リング】よりも以前の年代が舞台となるようです。
撮影は既にニュージーランドで始まっています。
ドラマ史上最高額の費用で製作される新たな指輪物語に期待が膨らみますが、完成度の高い映画版の世界観を継承して欲しいとファンは願っているのではないでしょうか…
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