今回紹介する映画は 沈黙のパレード
2022年公開のテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版第3作目
監督：西谷 弘(フジテレビドラマ制作センターゼネラルディレクター) 脚本：福田 靖
『ガリレオシリーズ』やフジテレビの人気ドラマの数々をこの名コンビが制作しています。
今回も期待を裏切らない完成度でした。
原作：東野 圭吾の推理小説 ガリレオシリーズ第9弾となる長編小説『沈黙のパレード』
原作者の東野氏は『沈黙のパレード』の執筆に関して「被害者を愛した善良の人々が力を合わせたら、湯川でさえも手こずるような謎が生まれるのではと考えた」とインタビューで答えています。
では…
善良な人々がどうやってガリレオ（湯川）を手こずらせたのか？
それはタイトルから連想されるとおり“沈黙”です。
劇場版【ガリレオ】3作品は興行的にも大成功間違いなしの作品で、その評価も高く国内の各ショーレースでは3作品とも何かしら受賞しています。
ところが…
今回の『沈黙のパレード』はレビューで期待外れとの感想が散見されイマイチな感想が多いです…
“沈黙”の捉え方で作品の感想は全く違ってきますよ
だが しかし！
侮ってはいけません
原作は東野圭吾のベストセラー。
胸が苦しくなるほどの人間模様に涙腺崩壊は間違いありませんので
覚悟してご鑑賞ください。
冒頭から目頭が熱くなります～
キャスト紹介
【ガリレオ】シリーズに出演する役者さんたちの演技が、
毎回素晴らしくて本当に感動ものです。
今作でも、レビューの多くで
草薙刑事役の北村 一輝と蓮沼 寛一役の村上淳の演技がとにかく凄い！
と評価されています。
特に、村上に翻弄され被害者遺族との間で苦悩する草薙の憔悴ぶりと
悪役の蓮沼のはらわたが煮えくり返るほどのゲスっぷり！
この2人の対照的な演技から
苦悩する草薙や遺族に対してより感情移入し、ストーリー展開にどっぷりとのめり込めます！
【公式】「ガリレオ」映画第3弾！『沈黙のパレード』より
メインキャスト
| 湯川 学/福山 雅治 | 帝都大学理工学部物理学科教授 東京都菊野市に新設された研究所の磁気物理学研究部門に勤めています 草薙の悔しい思いを晴らす手がかりを求めて 「なみきや」に顔を出すようになり、いつしか常連客になっています |
| 草薙 俊平/北村 一輝 | 警視庁捜査一課所属の刑事 今作では係長に昇進しています 15年前の事件を担当し蓮沼の取り調べなどに参加していましたが、 当時有罪に出来たかった事で新たな被害者が出てしまった事に責任を感じています。 |
| 内海 薫/柴咲 コウ | 警視庁捜査一課所属の刑事 若手の女性刑事で草薙の後輩 今回の事件で苦悩する草薙を見かね湯川に相談を持ちかけます。 |
菊野商店街の人々
| 並木家 並木祐太郎/飯尾和樹 | 菊野商店街にある料理店「なみきや」店主 |
| 並木真智子/戸田菜穂 | 並木祐太郎の美人の妻 調理や接客をして店を切り盛りしています |
| 並木佐織/川床明日香 | 並木家の長女 歌うのが上手で祭りでは常に人気者 歌手を目指して新倉直紀からレッスンを受けていましたが、 突然行方不明となり、3年後に静岡県で火事になった家から遺体となって発見されます |
| 並木夏美/出口夏希 | 並木家の次女 |
| 朝倉家 新倉直紀/椎名桔平 | 沙織をスカウトし歌手デビューをプロデュースする音楽家 教え子がスターになる事を夢見ていました |
| 新倉留美/檀 れい | 直紀の妻 元歌手で直樹の教え子 10年間活動するがヒット曲も出ず引退と同時に直紀に求婚され結婚 直紀の夢を叶えるため陰で支え続けていました |
| 菊野商店街の人々 戸島修作/田口浩正 | 食品加工業「トジマ屋フーズ」社長で祐太郎の同級生 今でも下の名前で呼び合う親友で並木家とは家族ぐるみの仲 |
| 高垣智也/岡山天音 | 佐織の恋人 |
| 宮沢麻耶/吉田 羊 | 大型書店「宮沢書店」の跡継ぎ娘 町内会の理事や毎年10月に行われるキクノ・ストーリー・パレードの実行委員長 |
| 15年前の事件関係者 本橋誠二/清水 伸 | 優奈の父親 |
| 本橋由美子/山田キヌヲ | 優奈の母親 蓮沼の無罪判決後に自殺してしまいます |
| 本橋優奈/大島美優 | 15年前に行方不明になった12歳の少女 約4年後に奥多摩の山中で白骨死体となって発見されます |
| 増村栄治/酒向 芳 | 廃品回収会社に勤務し、菊野市内にある倉庫の管理事務所に住んでいます 同僚になった蓮沼の唯一の友人 |
| 蓮沼寛一/村上 淳 | 沙織の事件の容疑者 15年前にも本橋優奈失踪事件の容疑者として草薙に逮捕されていました。 しかし、黙秘を貫き、証拠不充分で無罪となり刑事補償金と裁判費用を受け取っていました。 |
あらすじ
2017年 8月
この日、菊野市では夏祭りが行われ、公園ではみんなが楽しみにしている
のど自慢大会が始まっていました。
次はいよいよ並木沙織の順番です。
ところが沙織は緊張のあまり歌い出しを間違えてしまいます。
「ごめんなさい もう一回お願いします」
沙織は生演奏をしてくれるバンドや観客に頭を下げて謝りました。
すると
「いいよ いいよ」
「がんばれ～」
公園に集まった観客からは暖かい声がかけられ
バンドの演奏が再び始まりました。
そして、沙織はそっと目を閉じ
今度こそ『ジュピター』を歌い始めました。
会場には、そんな沙織を暖かく見守る親しい人達の姿があります。
食堂を営む両親と妹の夏美
店の常連客や商店街の親しい人達…
その中に、常連客で父親の友人の戸島修作がいました。
彼は、忙しい沙織の両親に変わり、赤ん坊だった沙織をあやしたりオムツまで変えて
可愛がってきました。
沙織の美しい歌声を聴きながら、戸島は懐かしい日々を思い出し胸が熱くなります。
そして、父親の並木祐太郎もカメラのシャッターを押しながら、沙織の七五三参りを懐かしく思い出していました。
また、商店街の“宮沢書店”の宮沢麻耶は、小学生の頃からよく書店に来ていた沙織を思い出し、
高校生の沙織の晴れ姿に声援を送ります。
そしてもう1人
密かに沙織と交際している高垣智也は会場の後ろの方からそっと沙織を見守っていました…
しかし、こののど自慢大会をきっかけに沙織の人生が大きく変わる事になったのです。
のど自慢大会の審査員を務める朝倉夫妻が、沙織を歌手デビューさせようとスカウトに訪れたのでした。
「考えてもらえないでしょうか」
「沙織さんには素晴らしい才能があります」
朝倉夫妻は、一家へ沙織のデビュープロジェクトを見せて説得を試みます。
それを見た妹の夏美は大はしゃぎしますが、
祐太郎は黙ってお茶をすするだけでした。
閉店時間になり、のれんを閉まった祐太郎は
「歌手になんてなれるわけがない」
と大反対です。
「どうして！」
沙織は祐太郎に食い下がります。
「決めつけるのは良くないぞ祐太郎～」
戸島は沙織の加勢にまわりました。
そして、夏美までも祐太郎に反論しますが
「夏美は黙ってろ」
と祐太郎は、全く聞く耳を持ちません。
それを聞いた戸島は
「祐太郎が黙ってろ」
と声を荒げる始末、売り言葉に買い言葉、このままではケンカになってしまいそうです。
「やめなさいよ2人とも」
そこへ母の真知子が2人に一喝入れると、沙織を引き寄せ
「取り合えず 高校卒業するまではさ…」
と諭すのでした。
ところが…
朝倉夫妻の沙織への期待は高く、沙織の家族や知人を招き
沙織のレッスンを見学させ説得したのでした。
こうして、沙織の歌手デビューに向けてプロジェクトが動き出したのです。
そして…
沙織は歌手を目指す一方で
智也の関係も深まり、順風満帆なはずでした…
「並木沙織さんには 約束された未来がありました」
警視庁捜査一課の内海は、行方不明だった少女の事件について報告を始めます。
沙織の葬儀が執り行われ
その遺影には、のど自慢大会で歌う沙織が飾られています。
悲しみに打ちひしがれる家族に戸島はかける言葉もなく
ただただ、静かに頭を下げることしかできませんでした。
そして、摩耶や朝倉夫妻も焼香に続きます。
「その彼女が突然姿を消したのは 平成31年3月29日午後8時頃 3年前です
そして今月2日 静岡県牧之原市菅谷で放火とみられる住宅火災が発生し
焼け跡から見つかった遺体が並木沙織さんのものと判明しました」
内海は、3年前に行方不明だった女性が遺体で見つかった事件の経緯を
捜査員たちに説明していました。
続きは本編で！
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレ含みます
沈黙のパレードとは…
この作品は、善良な人々による“沈黙”が焦点となっていますが
あれ？
この展開は、あのアガサ・クリスティーの『オリエント急行殺人事件』と同じでは…
と感じた方も多いのではないでしょうか
しかし！
この作品の見所は、1人の沈黙が破られると
また、新たな沈黙が現れ…
それを破るとまた新たに現れる！
そうです
正に沈黙が次々とパレードしてくるんですね～
関係者全員が頑なに沈黙を守った『オリエント急行殺人事件』とは違って
次々と新たな“沈黙”が湯川や草薙の前に立ちはだかりるんです。
なので、沙織の恋人が簡単に自供したのがおかしい～との感想もありますが、それでイイんです！
ラスボスの沈黙は破れるのか～
この作品の一番の見所はラストの演技派俳優同士の対決ではなでしょうか
愛する妻を守るために自首した新倉直樹
彼は、蓮村の殺害は事故だったと言いそれ以外は“沈黙”を続けていました。
しかしそこにガリレオが立ちはだかります。
湯川は、事件現場の状況から沙織を殺した真犯人はやはり蓮村だったと仮説をたてていたのです。
そして、この仮説を聞いた新倉は…
“沈黙”を続け自らの身を守るのか
或いは、
妻(留美は自分が殺したと思い続けていた)のために“沈黙”を破るのか
二者選択を迫られます
この時の新倉役の椎名桔平と北村一輝の迫真の演技が見所です！
最後の最後にこう来たか～
と唸るやはり感動の名作でした。
