今回紹介するドラマは 【ファーゴ】シーズン3
ドラマ版【ファーゴ】シーズン3 解説
2017年アメリカ チャンネルFXにて放送 全10話
1996年の映画【ファーゴ】に着想を得てプロデューサーのノア・ホーリーが原案、脚本を手掛けたドラマのシーズン3です。
S3では、S1,S2とはすっかり様変わりしています。
ブラックコメディな要素は、下品、下ネタに変わってしまいチョットついていけないかも…
S3の舞台は2010年。ミネソタ州のセントクラウドとエデン・バレーで起こった事件とその発端となった兄弟間の確執、企業乗っ取りを絡めたクライムサスペンスです。
見どころは、ユアン・マクレガーが一人二役で犬猿の仲スタッシー兄弟を見事に演じています。
何の情報も無く観ていた私は、途中まで全く気が付きませんでした!
S3の数話の原題タイトルは、カードゲーム“ブリッジ”の戦術から付けられているように、
戦略を持って挑んでくる相手に対し、無防備なスタッシー兄弟はどう対峙するのか…?
残酷な生き残りゲームが始まります。
ストーリーは繋がっていないのでどの作品から観ても楽しめますが、【ファーゴ】をたっぷりと楽しみたい方は、是非映画版ファーゴから観る事をおすすめします。
あらすじ
ユーリ・グルカ
1988年 東ベルリン
ヤコブ・ウンガーライダーは、恋人の殺人容疑で逮捕され尋問を受けていました。
ところが、尋問官は「ユーリ・グルカだな」と尋問します…
ヤコブは「いいえ」と答え、これは誤認逮捕だと訴えますが、
尋問官は「それは“物語”だ」と全く取り合いませんでした。
そして、尋問官はすでに完成された事件の”物語”に沿って尋問をつづけます。
ヤコブは事態の深刻さに気付き、恐怖のあまり失禁してしまいます。
(冒頭のこのシーンは、第8話のボウリング場で伏線は回収されるようです…)
『これは実話の映画化である。実際の事件は2010年ミネソタ州で起こった。生存者の希望で人名は変えてあるが、死者への敬意をこめて事件のその他の部分は忠実な映画化をおこなっている』
(ファーゴは、映画もドラマもこのテロップから始まります。冒頭からブラックジョークが効いていますが、この作品は完全なフィクションです)
兄弟の確執
エミット・スタッシーは、駐車場投資で実業家として成功を収めていました。
しかし1年前のエミットは、どこからもお金を貸してもらえず資金繰りに苦労をし窮地に立たされていました。その時、ブローカのアーメントラウブという人物が資金を貸してくれて、今日の成功に至ったのです。
エミットは、その時借りた借金を返済しようとアーメントラウブに連絡したのですが…
“カチャカチャプー”
と電話は音がするだけでした。
アーメントラウブの紹介者に尋ねても、結局彼の連絡先は分からないままでした。
エミットは、妻ステラとの結婚25周年記念パーティにゲストを招待し自宅で祝っていました。
そこには、エミットの弟レイ・スタッシーと若い婚約者ニッキー・スワンゴの姿があります。
レイはミネソタ州の保護監察官をしており、その身なりはみすぼらしく、他のゲストからも浮いていました。
生活に余裕のないレイは、ニッキーの婚約指輪を買う資金をエミットに頼むつもりで押しかけてきたのでした。
エミットと片腕のサイ・フェルツは、ニッキーに対して懐疑的でレイの頼みを断ります。
するとレイは「貸しがある」と子供の頃の話を持ち出します。
レイはエミットに頼みごとをする時には、常にこの“貸し”を持ち出すのでした。
その“貸し”とは…2セント切手の数字が逆に印刷されたビンテージ切手を巡る長年の因縁です。
ブリッジ
パーティからの帰り道、ニッキーはカードゲーム“ブリッジ”の地区大会で勝てばビッグチャンスが巡ると大会参加を持ちかけます。
しかし、仮釈放中のニッキーは州を跨ぐ移動は禁止されていました。
ニッキーは、保護観察官なら何とか出来るでしょうと、全く意に介していません。
レイは、2人の関係がバレたらまずい事のなると反対します。
それでもニッキーは、勝てば大金が手に入りブリッジ界で有名になればスポンサーが付き、エミットにお金を借りる必要もなくなると、断固として引きませんでした。
そして、2人は「ウマが合う」ニッキーの一言にレイの心もついに動かされました。
事件の始まり
レイは保釈中のモリース・ルフェイに尿検査の失格を帳消しにする変わりに、エミットから切手を盗むよう依頼します。
そして、モリースに”エミット・スッタシー、エデン・プレーリーと書いたメモを渡しました。
その夜、自宅にいたエミットみ、会社に来てほしいとサイから突然の電話が連絡が入ります。
サイは例の“カチャカチャプー”が来ていて埒が明かないと伝えます。
エミットは、急いでオフィスに向かいました。
その頃、モリースはメモの住所に向かっていました。
しかし、モリースがタバコを吸おうと車の窓を開けた瞬間、風でメモが飛んで行ってしまいます。
モリースは車を止めて慌ててメモを探しますが、何処にも見当たらず、彼は諦めて…裏覚えの住所に向かって出発しました。
一方、エミットがオフィスに着くと既にアーメントラウブの代理人V・M・ヴァーガは待っていました。
借金の返済をしようと2人は、小切手の送り先を聞きますが、ヴァーガは「あれは投資だった」と返済を拒みました。
突然の事に、エミットとサイは言葉を失ってしまいます。
そこで、契約書には短期の融資と書いてあったと主張しますが、
ヴァーガは、全く取り合いません。
エミットは、全て返済し自由にやりたいと本音を伝えます。
しかし、ヴァーガは「言ったろ、最初の金は出資金だったから取っておけ」
そして、今後はスッタシー社の収益も含め本社で管理すると引きませんでした。
彼らは、既にスッタシー社のシステムにアクセス可能で、エミット達の行動を監視すると言い出します。
要件が済むとヴァーガは「この件は、他言無用だ」と言い残しオフィスから出て行きました。
この1年間、エミットの知らぬ間に、彼らはスッタシー社の経営状況を把握し着々と準備をしていたのです。
エミットとサイは、自分達の深刻な立場に気づき恐怖を感じます…
その夜エデン・バレー警察のグロリア・バーグルは、継父エニス・スタッシー宅で息子ネイサンの誕生日を祝い。その帰宅途中でネイサンが忘れ物に気づきます。
仕方なく戻ったグロリアが目にしたのは、椅子に縛られ鼻と口を接着剤で塞がれたエニスの死体でした…
殺人事件の捜査に動き出したグロリアは、継父の隠された過去を知ることになります。
そして、グロリアの捜査はスタッシー兄弟へと迫って行きます。
キャスト紹介
エミット・スタッシー/ユアン・マクレガー
実業家、レイの兄。不動産投資で成功を収め裕福な生活を送っていました。1年前に融資を受けた相手から会社乗っ取りを仕掛けられます。
レイ・スタッシー/ユアン・マクレガー
ミネソタ州の保護監察官。ルールを破って仮釈放者のニッキーと婚約します。事業で成功した兄エミットに嫉妬しビンテージの2セント切手を巡り仲違いの関係。
グロリア・バーグル/キャリー・クーン
エデン・バレー警察の前署長。継父が殺された事件を捜査していく中でレイやエミット、ヴァーガへと迫っていきます。
ニッキー・スワンゴ/メアリー・エリザベス・ウィンステッド
解釈中でありながら保護観察官のレイと婚約しブリッジの地方大会に参加する等大胆な性格。エミットとレイのケンカがエスカレートするうちにヴァーガから命を狙われる事になってしまいます。
V・M・ヴァーガ/デヴィッド・シューリス
アーメントラウブの代理人。恐怖心と言葉巧みにスッタシー社の乗っ取りを仕掛けます。
ユーリ・グルカ/ゴラン・ボグダン
ヴァーガのウクライナ人の手下。20歳の時に東ベルリンで女性の殺人事件を起こしています。
サイ・フェルツ/マイケル・スタールバーグ
エミットの片腕でスッタシー社の重役。ヴァーガに貶められます。
エニス・スタッシー/スコット・ハイランズ
グロリアの継父。人違いによって殺されてしまいます。
ポール/レイ・ワイズ
グロリアとは、飛行機の機内とバーで会い、ニッキーとは逃亡中に逃げ込んだボーリング場で会った不思議な男性。
レンチ/ラッセル・ハーバード
ニッキーを助ける聾啞の男。S1では殺し屋、S2ではラストシーンに子供時代のレンチが登場しています。
♦スポンサーリンク♦
只今こちらの動画配信サイトでご視聴頂けます
(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
S3では、1988年の共産圏の東ベルリンで明らかに犯人ではない状況においても、尋問官が“物語だ”とヤコブを犯人に仕立てるシーンから始まります。
何の関係もないシーンのようにも思えますが…実は、S3の根底に描かれているテーマのように感じます。
ゲームを支配する者が全てを支配する!
真実など関係ない…そんな恐怖が描かれていると思います。
訳の分からないうちに支配されて行く恐怖…これは気味が悪く背筋の凍るような思いでしょう。
ヴァーガの穏やかな口調とは裏腹に、下品で卑劣な所は嫌悪感と不気味さを感じます(デヴィッド・シューリスが上手いだけかな)
お人好しで能天気なスッタシー兄弟やサイとは反対に、不良のニッキーが反撃するところは、実に頼もしく爽快です。
S1に引き続き登場のレンチは、相変わらず美味しい役どころでまたまた大活躍!
しかし、S3はファーゴ作品では珍しくスッキリしない終わり方になっています。
過度な演出も不評でシリーズの中では視聴率も伸び悩んでしまったようです(気持ち悪いシーンが多すぎ!)
奇を狙い過ぎたかな…
またまた、ファーゴカップル誕生
ファーゴでは、逃亡カップルを演じた俳優はプライベートでも影響されてしまうようですね。
S2のジェシー・プレモンスとキルスティン・ダンストに引き続きユアン・マクレガーとメアリー・エリザベス・ウィンステッドも恋に落ちましたが、こちらの2人は別々の道を選んだようです。
追記
…と思っていたら
2020年6月にユアン・マクレガーの離婚が成立。
2021年6月に長男が誕生し、2022年4月にめでたく結婚。
着々と愛を育んでいたようです。
congratulation!お幸せに!