今回紹介する映画は ショコラ
概要
2000年のアメリカ・イギリス合作のファンタジー映画
監督:ラッセ・ハルストレム(代表作「ギルバート・グレイプ/1993」「僕のワンダフル・ライフ/2007」)
原題:Chocolat
上映時間:121分
原作:ジョアン・ハリスの1999年の同名小説
原作の続編
- 2007年『ロリポップ・シューズ』
- 2017年『ピーチズ・フォー・ムッシュ・ル・キュレ』
- 2019年『いちご泥棒』
期待通り!名匠ラッセ・ハルストレムは裏切らないな~
フランスを代表する女優ジュリエット・ビノシュと
人気絶頂期だったジョニー・デップが共演とあらば、当時は大きな話題になった作品。
『ショコラ』は製作費2500万ドル、全世界で1億5269万9946ドルの興行収入を記録し大ヒット。
作品の評価も高く、ヨーロッパ映画賞主演女優賞や、全米映画俳優組合賞助演女優賞を獲得したほか、アカデミー賞5部門、ゴールデングローブ賞4部門にもノミネートされた。
だがしかし…何故か、フランスではヒットしなかった。何でだろう~ フランスが舞台なのに全編英語のせいかな?
ハルストレム監督作品が好きな方なら納得の作品!派手な演出はなくても、キャストの演技力や魅力を引き出すのが上手い!
ビノシュ演じる不思議な女性ヴィアンヌが、廃墟のようなボロ店舗を
素敵なチョコレート店にDIYしていく様にワクワクしてしまう!
キャスト紹介
この作品の豪華キャストの中に…
監督の奥様も出演しています。
何と…ジョゼフィーヌを演じたレナ・オリン!
夫からDVを受けていた彼女が、ヴィアンヌと出会ったことで、
次第に自立した女性に変わって行く姿を熱演しています。
レナ・オリンは悪女役や金持のマダム役が多い印象でしたが
この役も良かったな~
ヴィアンヌ/ジュリエット・ビノシュ | 娘と北風を追ってヨーロッパを漂流するシングルマザー |
ルー/ジョニー・デップ | 自称「川のネズミ」 川辺に住むロマの一団のリーダー |
アルマンド/ジュディ・デンチ | チョコレート店の大家 キャロラインの母でリュックの祖母 村での最初の友人 |
レイノー伯爵/アルフレッド・モリーナ | 村長で厳格なクリスチャン 村のしきたりを無視するヴィアンヌを敵視する |
ジョゼフィーヌ/レナ・オリン | 村のカフェを経営しているセルジュの妻でDVを受けている 村人からは変人扱いされている |
キャロライン/キャリー・アン・モス | アルマンドの娘でリュックの母親 夫は戦死し未亡人 敬虔なクリスチャンでレノーの秘書 アルマンドとは距離を置いている |
アヌーク/ヴィクトワール・ティヴィソル (声:サリー・テイラー=イシャーウッド) | ヴィアンヌの6歳の娘 |
ヒュー・オコナー/ペール・アンリ | アメリカ音楽好きの新任の神父 |
あらすじ
<昔々 フランスに小さな村がありました 人々が平凡な暮らしを送る 静かな村です>
フランス ランスケネ村 日曜日
今朝も村長のレノー伯爵は教会の入り口に待ち構え、ミサに訪れる村人に厳しいチェックを入れている。
この村は伝統と戒律に縛られ、
敬虔で厳格なレノーは、その慣習を村人に守らせている。
そして、村人全員が集まると、キャロラインのオルガンに合わせ讃美歌の合唱が始まる。
キャロラインは、演奏中も1人息子のリュックの様子が気になった。
何故なら、リュックは讃美歌を歌うどころか、聖書の中に隠した紙に悪魔のイラストを描いているのだ。
<この村では 何事にもしきたりがあります>
リュックは、母親に睨まれていると気づくと讃美歌を歌い始めた。
<それを 守らねばなりません もし忘れたら 誰かが思い出させてくれます>
村人のイヴェットは、合唱中も隣でいびきをかいて寝ている
無精な夫アルフォンスの足を蹴り彼の目を覚まさせた。
合唱の後は、神父のお話の番だ。
「四旬節が訪れました これは断食の時季ですが 願わくば懺悔の時ともなるように
自分の罪深さを知り 心から悔い改めましょう 恐れずに罪を認め」
<この村では 見てはならないものを見たら 見ないふりを
期待に裏切られ 失望したら…>
村でカフェを営むセルジュとジョセフィーヌ夫婦
しかし、ジョセフィーヌは周囲の目を盗んで前の座席のバッグから財布を盗み満足そうだ。
<二度と期待しない事>
「神の許しを請いましょう キリスト生誕から1959年目の今年…」
<いい年も 悪い年も 飢餓の年も 豊作の年も 村は伝統を重んじてきました
ところが ある冬の日 いたずらな北風が吹いて…>
その頃、北風に舞う粉雪の中、赤いコートを羽織った母娘が村にやって来た…
「真実はどこに?」
すると…神父のお話の途中、強い北風のせいで教会の窓は大きな音を立てて揺れる。
一同がその音に驚いくほどだ。
「どうさがせばいいか…」
神父も動揺を隠せない。
今度は、教会に北風が入り込む。
「そう自らに問うとき…」
その時…
突風で重い教会の扉がバタンと開いた。
一斉にみんなの視線が集まる中
最前列に座っていたレノーが立ち上がり扉を閉めた。
続きは本編で!
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勝手に私見考察
ヴィアンヌの正体は?
ヴィアンヌの作る不思議なチョコレートは、
厳格な村人たちを誘惑し幸福感を満たし、
何時しか虜にしてしまう…
では、そんなヴィアンヌは本当に魔女なのでしょうか?
勝手に考察してみると…
実は、原作にも明確に魔女だとは書かれていないようです。
ただし、映画版ではヴィアンヌの母親から受け継いだ古代マヤでのカカオの処方が色濃く、
神がかり的なチョコレートとなっていますが…
しかし、現代においてもカカオには、様々効能があることは知られています。
放浪の旅を重ね、多くの人々と接してきたヴィアンヌ。
彼女は寛容で明るく、とても聞き上手!
おまけに、カカオの知識はバッチリで強い信念と頑固さも持っているパーフェクトな女性!
こんな女性がいたら…私も虜になるわ~
ところが、完璧な彼女にも悩みはある。
北風に導かれるように放浪の旅を続けてきたヴィアンヌだが、本心はそんな生活から抜け出したい!
彼女自身も子供の頃から生き方を強いられてきたわけで、村人の心情もよく理解できる…
一方、村人たちは
厳格な戒律を強いられ、毎日のように
懺悔しろ!
質素に!
断食月だ!
と…
これでは、やる気も情熱も損なうことでしょう。
そこへ、ヴィアンヌのような異端な美人が突然現れたら…
ヴィアンヌは魔女ではなく
スピリチャル感のある心理カウンセラー的な存在ではなかな?
いかがでしょうか~
やはり…
チョコレートには精神安定剤のような効能があるのだ!
これから罪悪感を感じずチョコレートを食べられそう…
因習からの解放
原作には続編がありますが
映画版は、この作品でハッピーエンドで終わっています。
製作陣が最もテーマに描きたかったのは…
終盤のオコナー神父のお話にあったように
宗教とは
神の神性を語るのではなく人間性を説くのだと…
「人間の価値とは何を禁じるのかで決まらない
何を否定し排除するかでもない
むしろ何を受け入れるかで決まるのでは?
何を創造し誰を歓迎するか」
この説教で村は古い因習から解放されたのです。
あのレノー伯爵さえ
これこそ教えだな~と
そして、感動のハッピーエンドに続きます。
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