今回紹介する作品は 世界の映画人から選ばれる日本映画5作品!
このブログを書き始めて今回で156記事目となりました~
毎日毎日訪問して下さる方々のお陰で、何とか書き続けております。
誠にありがとうございます。
ところで
今回は、何ゆえわざわざよく企画されているタイトル記事を書くに至ったかというと、
156記事を書く中で、各作品についてインタビュー記事や公式サイトなど
色々な情報を調べるのですが、
すると、様々な作品で「クロサワ」「7ニンノサムライ」「ゴジラ(初代)」「オズ」の名前が聞かれることに先ず驚きました。
まあ、スピルバーグやルーカス、コッポラにジョージ・ミラーなどハリウッドの巨匠が黒澤監督をリスペクトしている話は超有名ですが、
それ以外でも、チョイチョイ話題に上ったりするんです。
例えばこのブログで紹介した
こちら↓の作品では、主人公の友人が黒澤作品のファンの設定です
私自身は、息子の影響で初代ゴジラを少し観ましたが、その他の作品に至っては全く観た事がなかったんです。
普段あまり日本映画やドラマを見ない私なので(ドロドロでエグイのが大好き!)
ましてや日本のモノクロ作品を観ようとはなかなか思いませんでした。
ところが、私の好きな作品や監督がこぞって「クロサワ」「サムライ」「ゴジラ」と子供のような目をして興奮ぎみに話している姿を見ると…これは観なきゃいかん!と思った訳です。
(但し、アニメ以外の作品です)
【世界の黒澤】やはり圧倒的人気は7人の侍
やはり【7人の侍】は強かった!
各国のランキングで必ず上位に食い込む日本映画の名作です。
いや~ 凄い作品で、製作エピソードなんて山のように語り継がれています。
おまけに、当時では破格な2億円を超える製作費、何度も大人の事情による撮影中断の危機になりますが、黒澤監督はやる事なす事全てがダイナミックでした。
7人の侍(1954)
上映時間:3時間26分
出演:志村喬、三船敏夫、木村功、稲葉義男、加東大介、千秋実、宮口精二
監督:黒澤 明
日本の映画監督・脚本家・映画プロデューサー。位階は従三位。生涯で30本の監督作品を発表、うち16本は三船敏郎とのタッグ作品でした。
あらすじ
戦国時代末期、とある山間の農村では、度々野武士に襲撃され、その恐怖に怯えて暮らしていました。その年も麦が実ると同時に、40騎もの野武士達が村へ略奪に来ることを知った農民たちは、村を守るために侍を雇って対抗することを決意します。そこで選ばれた4人の男たちは、宿場町へ出かけ、白米を腹いっぱい食わせることを条件に力を貸してくれる侍を探し始めます。4人は苦労の末、7人の浪人を雇います。7人の侍と怯える村人たちは騒動を起こしながらも、野武士との戦に備えていくのですが…
【世界の黒澤】日本より世界に評価された羅生門
第12回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、第24回アカデミー賞で名誉賞(現在の国際長編映画賞)を受賞。これにより日本映画産業が国際市場に進出する契機となった作品でした。
ところが、当時の日本の映画界は国際映画祭に関心がなく【羅生門】を高く評価しカンヌ国際映画祭に推薦したのは、イタリアの実業家ジュリアーナ・ストラミジョーリでした。
しかし、【羅生門】が受賞すると大映の社長は手の平を返したように絶賛したそうです。
(参考:Wikipedia羅生門)
この日本の反響に対し黒澤監督は『西洋人のエキゾチックなものに対する好奇心ではないか、もっと日本の現実的な題材で賞を獲るべきだ』と主張したそうです。(実に冷静な受け止めですね)
(この当時から、日本って変わってないな~と思ってしまう、がっかりエピソードでしたね。)
羅生門(1950)
上映時間:1時間28分
出演:三船敏夫、森雅之、京マチ子、志村喬、千秋実
あらすじ
平安時代の京の都。豪雨で羅生門に雨宿りする3人の男がいました。そのうちの2人、杣売り(そまうり)と旅法師はある事件の参考人として出頭した検非違使からの帰えりでした。2人は、もう1人の下人に実に奇妙な出来事を語り始めます。
3日前、薪を取りに山に入った杣売りは、武士の金沢武弘の死体を発見したため、検非違使に届け出ました。そして今日、第一発見者の杣売りと生前の武士とその妻の姿を見た旅法師は、取り調べの場に出廷したのでした。ところが、取り調べでは犯人の盗賊と妻、亡くなった夫(巫女の降霊術による)の証言が全く食い違っていたのです…
【小津 安二郎】世界の映画監督358人がNO.1に選んだ東京物語
小津作品は、ローポジションによる撮影や固定カメラで撮影し、画面内に映る小物などの高さにもこだわり、まるで写真のような構図で世界から注目されます。
その撮影手法は“小津調”と呼ばれ独特の映像美を生み出しました。
また、物語は淡々とドラマのない静かな日本人の日常を描き、
それは黒澤監督がダイナミックな映像、劇的なストーリー構成とヒューマニズムを基調にしていたのとは正反対な作風でした。
なるほど~
両監督ともに、独特の撮影手法による映像美が世界の映画人から高く評価される理由なんですね。
東京物語(1953)
上映時間:2時間16分
主演:笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聡、杉村春子、香川京子、大坂志郎
日本の映画監督、脚本家。35年のキャリアの中で54本の作品を監督し“小津調”と呼ばれる独特の撮影手法と親子、夫婦など家族の解体をテーマにした作品を撮り続けました。
あらすじ
広島の尾道から、久しぶりに東京に住む子どもたちを訪ねる老夫婦。子どもたちとの再会を楽しみにしていましたが、子どもたちはすでにそれぞれの生活と人生を抱えて、夫婦は邪険に扱われてしまいます。そんな夫婦を親身になって世話を焼てくれたのは、戦死した次男の未亡人だけでした。やがて夫婦は尾道へ帰るのですが…
日本の怪獣映画の先駆け、今でも新作が製作されるゴジラ
監督の本多 猪四郎は「『ゴジラ』を監督していなければ全く違う人生を歩んでいただろう」と
語るように、1954年の初代ゴジラは、全米で大ヒットを記録し本多監督の名を
一躍世界に知らしめた作品となりました。
ところが、アメリカで公開された【ゴジラ】は、当時の時代背景に配慮されアメリカで追加撮影が行われ再編集されたものが、1956年に『Godzilla, King of the Monsters!』(『怪獣王ゴジラ』)のタイトルで全米公開されたのです。
正式な完全版が上映されたのは2004年になってのことで、そのテーマ性と完成度の高さが絶賛されたそうです。
しかし、当時は悔しい思いもあったでしょうが、こうしたエピソードも人気に拍車をかけますよね。
ゴジラファンなら完全版もアメリカ版も観たいものです。
ゴジラ(1954)
上映時間:1時間37分
出演:宝田明、河内桃子、平田昭彦、志村喬、村上冬樹、堺左千夫
監督:本多猪四郎
日本の映画監督。“特撮”に関わり続けた一方で、メロドラマ、サラリーマン喜劇、歌謡映画など幅広いジャンルの作品も手がけました。友人の黒澤明とは正反対のタイプで、映画製作において会社の求める企画を予算や時間を守って仕上げる職人タイプの監督でした。
あらすじ
1954年の8月、小笠原諸島近海で船が次々と消息不明となり、やがて漁師の山田政治が大戸島に漂着。「やられただ……船ぐるみ」と言い残し意識を失います。老漁師は、大戸島に古くから伝わる海の怪物”ゴジラ”の仕業で、ゴジラは海のものを食い尽くすと陸に上がってきて人間さえも食らうため、昔は若い娘を生贄にし遠い沖へ流しゴジラを鎮めていたと言います。その夜、暴風雨の中何かが足音を響かせて島に上陸。次々と住民や家畜を殺戮するのです…
この作品の特撮には、勿論円谷英二が特撮技術を担当しています。
それまでの映画の怪獣というと人形アニメで撮影されており、『ゴジラ』は本格的な「ぬいぐるみ怪獣」の日本初の取り組みだったそうです。
しかし、この”ぬいぐるみ”の中に入る演者さんの苦労は並大抵のものではありませんでした。
(シリーズを通して、命の危険につながる撮影エピソードは沢山あります)
でも、スティーヴン・スピルバーグが少年時代にゴジラを観て「どうして怪獣をあんなに滑らかに動かせるんだろう」と衝撃を受けたというのだから、当時は画期的だったのではないでしょうか。
3年連続ヴェネツィア国際映画祭銀獅子受賞の溝口監督の雨月物語
1950年黒澤監督の【羅生門】がヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を日本人初受賞した後、
勢いにのる日本映画は、1952年~1954年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を溝口監督が3年連続受賞の快挙を成し遂げています。
(しかし、1945年に敗戦したんですよ!東京は焼け野原だったんですよ!それが5年後には国際映画祭で受賞しその後も連続で受賞するって!本当に凄い)
雨月物語(1953)
上映時間:1時間36分
出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄
監督:溝口健二
日本映画を代表する監督のひとりで、33年のキャリアの中で92本の映画を製作し、ワンシーン・ワンショットや移動撮影を用いた映像表現、また完全主義者で撮影時は非常に厳しい姿勢で有名。社会的に弱い女性の姿をリアルに描いた作風で、国際的にも高い評価を受けました。
あらすじ
琵琶湖北岸の村に暮らす貧農の源十郎は、畑の世話をする傍ら焼物を作り町で売る商売をしていました。するとその商いが成功し、人が変わったように商いに取り組みます。妻の宮木は「親子3人が幸せに暮らせればそれで充分なのに」と金儲けに必死になる源十郎に不安を抱きます。また、隣家に住む義弟の藤兵衛は、妻の阿浜の反対をよそに侍になりたいと町へ商いに出かける源十郎に同行し、市で見かけた侍に家来にするよう頼み込みますが、具足と槍を持って来いとあしらわれてしまいます。やがて、大量の焼き物が完成し、今度は戦果に沸く長浜の市で一儲けしようと出かけますが…
『雨月物語』は江戸時代後期に上田秋成によって著わされた短編集で
全9話の怪談・奇談から成る怪異小説です。
映画【雨月物語】では、そのうちの「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編と、フランスの小説家モーパッサンの「勲章」を加えて、脚本家の川口松太郎と依田義賢が脚色しました。
戦乱と欲望に翻弄される人々を幽玄な映像美で描き、
海外でも映画史上の最高傑作のひとつとして高く評価され、1953年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞し、アカデミー賞では衣装部門にノミネートされました。
1953年のヴェネツィア国際映画祭は、金獅子賞がなかったため実質的に最優秀作品と言われています。
そして、批評家から高い評価をされる作品なのです。
原作の雨月物語からかなり脚色された物語ですが、正に幽玄という言葉がピッタリな素晴らしい作品でした。
健気に夫に尽くす妻の宮木が~(初めて田中絹代の作品を観ましたが素晴らしかったです)
ラストは悲劇ではありますが、ジワリと胸を打たれます。
映画監督の市川崑が「一見、女性を見る目が乾いているようで、実は物凄く温かいところ。人間を見つめる目の深さには脱帽します」と溝口監督を評していますが、この作品も全くその通りでした。