あらすじ
『これは実話の映画化である。実際の事件は2006年ミネソタ州で起こった。生存者の希望で人名は変えてあるが、死者への敬意をこめて事件のその他の部分は忠実な映画化をおこなっている』
(ファーゴは、映画もドラマもこのテロップから始まります。冒頭からブラックジョークが効いていますが、この作品は完全なフィクションです)
1件目の事件
ある真夜中、殺し屋のローン・マルヴォは依頼された仕事の途中で、雪深い中西部のミネソタ州ベミジーを走行中でした。後部のトランクからは、叩くような物音が続いています。
静かな闇夜の中でヘッドライトにいきなり鹿の姿が浮かびます。
マルヴォの車は、鹿をはねた勢いで雪原へと横転してしまいました。すると、車の壊れたトランクから下着姿の男が雪深い林の方へと逃げていきます。
マルヴォは額から血を流し怪我をしていました。しかし、マルヴォは今にも息絶えそうな鹿を見つめていました…
レスターの最悪な1日
ミネソタ州ベミジーに暮らすレスター・ナイガードは、全く冴えない中年男でした。
今朝も妻のパールは、壊れかけの洗濯機に苛立ち、レスターの弟チャズと比較して嫌味を言います。
チャズは、上司からも期待され営業部長に昇進して裕福な生活をしています。片やレスターは、業績の伸びない小さな保険代理店で働いていました。
「弟と結婚するんだった」パールは不満を漏らします。
その日のレスターは運が悪く、高校時代のいじめっ子サム・ヘスと彼の息子達と偶然出会い絡まれてしまいます。
サムに脅されて驚いた拍子にレスターは鼻の骨を折る大けがをし病院へ行く事になってしまいました。
レスターは、病院の待合で額の傷の治療に来ていたマルヴォと軽い会話を交わします。
誤解から怪我を負っただけだ、拘らないよと怪我の説明をするレスターに、病院送りにされて何故拘らない…やり返さないのか?マルヴォはレスターに問いかけます。
「もし、俺があんたなら相手を殺す」
「冗談だろ…」「代わりに君が殺すか?冗談だよ」レスターはマルヴォの正体を知らずに言ってしまいます。
「俺に殺せと?」
「お互いふざけて言い過ぎただけだよね?」レスターは不安に感じマルヴォに確認します。
「サム・ヘスだな。一言でいい、イエスかノーか」
看護婦に急かされたレスターは、マルヴォに返事を曖昧にしたまま別れてしまいます。
その夜…ストリップ小屋でサム・ヘスは何者かに頭部を刺され死亡する殺人事件が起こります。
マルヴォとの出会いをきっかけに、次第にレスターの別の顔が現れていきます…
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キャスト紹介
レスター・ナイガード/マーティン・フリーマン
ベミジーの保険代理店に勤めるセールスマン。気が弱く事なかれ主義。家庭でも仕事でも冴えない日々を送っていました。
ひょんな事から、高校時代のいじめっ子サムの殺人を殺し屋に依頼してしまった事から、連続殺人事件に巻き込まれレスターの人生は大きく変わってしまいます。
ローン・マルヴォ/ビリー・ボブ・ソーントン
凄腕の殺し屋。仕事以外でも訪れた先々で、気に入らない人を貶めたり殺したりしているが、善良な人間には手を出さない面もあります。
狡猾で頭も良く意外な名言を言って相手を納得させたり、ある時はナゾかけをして相手を混乱させるなど巧みな高等戦術もみせます。
モリー・ソルヴァーソン/アリソン・トルマン
ミネソタ州ベミジー警察署の副署長。鋭い洞察力で事件を捜査します。
独自の推理の結果、事件のカギを握るレスターに辿り着きますが、新署長ビルにレスターの捜査の邪魔をされてしまいます。
ガス・グリムリー/コリン・ハンクス
ミネソタ州ダルース警察の警官。ガスは気が弱く事なかれ主義なところがあります。
取り締まり中に、仕事でダルースに来ていたマルヴォの車を止めますが、マルヴォの脅しに怯み彼を逃がしてしまいます。
以後、ベミジーでの殺人事件の犯人ではなかったかと、罪悪感を持ち続けベミジー警察署のモリーの捜査に協力します。
ルー・ソルヴァーソン/キース・キャラダイン
モリーの父親。ベミジーの”ルーのコーヒーショップ”の経営者。以前はベミジー署の警察官をしていましたが、事件で負傷した為引退しています(シーズン2は、ルーの警官時代の物語になっています)
グレタ・グリムリー/ジョーイ・キング
ガスの12歳の娘。無線が趣味でガスの勤務中も無線でよく話します。10代らしい真直ぐな正義感を持っていて、時にガスの相談役にもなるしっかり者。
スタヴロス・マイロス/オリヴァー・プラット
ミネソタ州ダルースのスーパーマーケット“フェニックス・ファームズ”の経営者。ミネソタのスーパーマーケット王と呼ばれていて自伝本を出版しています。
サタヴロス宛にお金の出処を脅す脅迫状が届きその犯人の始末をマルヴォに依頼します。
このお金の出処こそ、ミネソタ州ミネアポリスに埋められた100万ドルでした。
ナンバーズ/アダム・ゴールドバーグ
ファーゴの犯罪組織の一員。サムの殺害事件をきっかけに犯人のマルヴォを追う事になります。
レンチ/ラッセル・ハーバード
ファーゴの犯罪組織の一員で聾唖の男。ナンバースと共にマルヴォを追います。レンチはシースン3に再登場します。
勝手に私見考察
ここからはネタバレも含みます。
マーティン・フリーマンは流石でした
主役のマーティン・フリーマンは、コメディ作品に多く出演していますが、ブラックコメディでクライムサスペンスのドラマ版ファーゴでも実にイイ味を出していました。
どの作品でも彼の細やかな役作りが垣間見られますが、ファーゴでは最低な男レスターを陰キャラではなく陽キャラで何処か憎めないという役処を演じ切っていました。
マルヴォ役のビリー・ボブ・ソーントンの陰キャラとの対比はドラマにイイ緊張感を与えていました。
こんなに弱くて無害な男が事件なんて起こすはずが無い!と署長のビルはレスターを信じて疑いません。その結果捜査を妨害し犯人逮捕を遅らせ大事件が起こってしまいます。
ファーゴのテーマ
映画同様にドラマ版でも田舎の善良な人々が、凶悪犯をやっつける!の既定路線でラストもスッキリと終わらせてくれています。
その中でも、気が弱く職場でもオドオドしがちで事なかれ主義のガス・グリムリーは、殺し屋のマルヴォの脅しに屈し逃がしてしまいます。
しかし、モリー・ソルヴァーソンと共に捜査するうちに彼女の信念の強さに影響を受け次第に事なかれ主義から決別し変わっていく姿がありました。
結婚後は警官を退職したにも拘わらず、家族や過去の因縁と向き合い危険を覚悟で、1人マルヴォと対峙した場面は、後の家族団らんのシーンにより感動を与えてくれました。
またシーズン1でも、ミネソタ州のミネソタナイスの素朴さや滑稽さ負の部分を所々にコメディタッチで挟んでいました。
モリーが、第1事件の下着姿の被害者の職場へ行き同僚から話を聞くシーンでは
皆が「とてもイイ人だった」と証言しながらも、ギャンブルをしていたと言う同僚や1人の男性は、皆に同調し10代の少女と付き合っていたと嘘まで言ますが、皆に総ツッコミされます。
どこがイイ人や~とこちらもツッコミをしたくなるシーンでした。
もう1つ、モリーの友人が離婚した後、付き合った男の首に蜘蛛が卵を産んだ話をする滑稽なシーンは、映画版の“マイク・ヤナギタ”を彷彿させました。
シーズン2への伏線
シーズン1には、シーズン2への伏線も所々散りばめられています。
モリーの父ルーやダルースの署長ベン・シュミットが言っていた“”スーフォールズ”とはシーズン2で起こる事件を指しています。
ルーがガスの上司ベン・シュミットを嫌な奴だと言っていますが、シュミットとルーの経緯もシーズン2で描かれています。
チョットした伏線が実に上手い!
シーズン1では、全10話の脚本を全てノア・ホーリーが手掛けています。
映画ファーゴやコーエン兄弟へのオマージュを感じられ、シリーズの中でも最高傑作ではないかと思います。