そして、脚本のアラン・ロープは、このブログでも紹介している【さよなら僕のマンハッタン】の脚本家でもあります。この作品も実に哲学的で夫婦や親子の関係を描いた深い味わいのある作品でした。
この作品の邦題は【素晴らしきかな、人生】ですが、多分それはアランが【素晴らしき哉、人生】をモチーフとしたクリスマス・ファンタジーを書きたかったとインタビューで話していたからだと思います。
また、アランは当初のファースト・キャスティングした豪華キャストが揃うはずないと思ってたようなのですが、脚本の素晴らしさにウィル・スミスは快諾し、その後ファースト・キャスティングした他のキャストも次々決定したそうです。
あらすじ
人生の絶頂からどん底へ…
ニューヨークの広告代理店のCEOハワード・インレットは、過去最高益も達し社員全員から祝福を受けていました。
ハワードは、希望に満ち自信に溢れ社員達のまえでスピーチを始めます。
「商品を売る為だけじゃない。人生は、人が全てだ。“愛と” “時間と” “死”が全ての人を繋げる要素だ」
と熱く語り、皆のからの祝福の拍手に包まれます…
3年後、ハワードは全くの別人になっていました。
2年前に愛娘を難病で亡くして以来、現実を受け入れないまま心を閉ざしてしまったのです。
共同経営者のホイットは、ハワードがこのままでは会社の破綻を招いてしまうと悩んでいました。
そして、何とか破綻を阻止する為、ハワードを議決権行使者から外す事を考え始めます。
そして、彼が考え出した計画は……
過去にホイットの不倫を暴いた探偵を雇い、取締役会でハワードの議決能力に疑問を持たせるような行動を調べさせるというものでした。
しかし、親友でもある同僚のドリスは、彼は子供を亡くしたのよと反対します。
そこで、同じく同僚のサイモンの家を訪れ、3人で話し合いをし出した結論は…
ホイットの計画を実行する…でした
3通の手紙
ある日ハワードは3通の手紙をポストに投函しました。
ホイットに雇われた探偵は、その手紙を不正な手段で何とか手に入れホイット達3人に渡します。
その手紙の宛先は、“愛、時間、死”だったのです。
しかし、それだけでは何の証拠にもならず、探偵が調べた他のものからも欲していた情報はありませんでした。
その後もハワードは、相変わらずな態度でホイットの相談にも首を横に振るだけでした。
クリスマスが近づくある日、ホイットはオーデションを受けに訪れたエイミーとふとした事から知り合います。
しかし、エイミーはオーデションを受けずに立ち去っていました。
慌ててホイットはエイミーの後を追って行きます。
すると彼女は小さな劇場へ入って行きました。
ホイットが続いて中へ入ると、エイミーは劇団員2人と稽古を始めていました。
演劇好きなホイットはその劇に魅了されます。しかし、資金がないため公演は出来ないと若いラフィが答えました。
ホイットは、劇団員のエイミー、ラフィと年配のブリジット3人にある計画を相談します。
彼ら3人が“愛、時間、死”となってハワードに近づき騙すというものです。
彼らは、ハワードを上手く騙す事は出来るのでしょうか……
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キャスト紹介
ハワード/ウィル・スミス
6歳の娘を亡くした悲しみから立ち直れず、妻とも離婚し自暴自棄な生活を送っていました。そんなある日、自分が出した3通の手紙の宛先“愛、時間、死” だと名乗る3人が目の前に現れます。
ホイット /エドワード・ノートン
ハワードの同僚。会社の破綻危機を回避する為、親友でもあるハワードを貶める計画の発案者になって“愛”役のエミリーと計画を実行します。ホイット自身も離婚を機に娘からも嫌われてしまい「もう会わない」と娘に言われ悩んでいました。
サイモン / マイケル・ペーニャ
ハワードの同僚。ホイットの計画に賛成し“死”役のブリジットと計画を実行します。サイモンは、若い頃多発性骨髄腫に侵され、何度も再発しながら乗り越えていました。子供が生まれて間もないサイモンに病は再発し既に末期状態でした。家族に病気の事を隠しているサイモン。ブリジットは、そんなサイモンの異変に気づきます。
クレア /ケイト・ウィンスレット
ハワードの同僚。今回の計画に反対していたが会社を守る為に渋々協力します。“時間”役のラフィと計画を実行。クレアは、会社に全てを捧げ独身を貫いたが、精子バンクに登録しドナーを探していました。クレアには出産年齢という時間が迫っていました。
マデリン /ナオミ・ハリス
子供を亡くした親の為の集い“小さな翼の会”の主宰者。ハワードの良き理解者
エイミー/キーラ・ナイトレイ
劇団の女優。ホイットの計画に協力し“愛”の役を担当。また、同時に娘との関係に苦悩するホイットにも助言を与えます。ホイットは、エイミーに惹かれていきます。
ラフィ /ジェイコブ・ラティモア
エイミー、ブリジットと同じ劇団の俳優。“時間”の役を担当。まだ若く見た目も悪い印象のラフィですが、高齢出産に悩むクレアに色々とアドバイスを与えます。
ブリジット /ヘレン・ミレン
エイミー、ラフィと同じ劇団の女優。“死”の役を担当。誰よりも今回の役を楽しんでいます。余命を家族に隠しているサイモンに打ち明けるように説得します。
勝手に私見考察
ここからはネタバレも含みます。
前半から何処か違和感を感じるシーンが幾つもありました。
- 何故、ハワードは迷わず“小さな翼の会”に行けたのか?
- 他人の筈のマデリンとハワードの会話のチグハグ感
- エイミーの知らない筈のホイットの娘の話やハワードのセリフ“何故の答え”をエイミーは、何故知っていたのか
- マデリンの自宅まで迷わず行けたハワード
- マデリンのリッチな自宅
この点と点がラストには見事に線と線と繋がっていきます。
涙腺崩壊後にストーリー全体が線で繋がり、まるでハワードの気持ちを体現出来たかのようにスッキリとした気持ちに持って行かれます。
見事なストーリー展開でした。
またこの作品では、ハワードのように人生の中で救いを求める瞬間をテーマにしています。
そのようなどん底の人生の真っ只中では、人生を恨んだり、人を妬んだり自分の弱さばかりが目立ってしまい、ますます自己嫌悪になって悪循環のループに嵌ってしまう事もあるでしょう。
もがいてもがいて…その先に“幸せのおまけ”は必ずあるから見逃すな、諦めるな!と強いメッセージを感じます。
“幸せのおまけ”とは…もがいているある日、突然にふっと自分の中で何かが変わる瞬間が分かります。
決して物質的なものではない、精神的な解放の瞬間を感じる時がきます。 (ちょっとスピリチャルな話になりますが……)
その瞬間に気づいた時、どん底の自分自身を受け入れた時
その後の人生は、より寛容で何者にも支配されず、本当の自分の人生が待っているように思います。
今、どん底だと感じている人がいるなら……乗り越えた先にある“幸せのおまけ”の瞬間を見逃さずにいて欲しい。
その後には、必ず豊かな人生が待っていますよ!