今回紹介するドラマは ディケンジアン
2015年12月26日から2016年2月21日までイギリス BBC Oneで放送されたテレビドラマシリーズです。
ビクトリア朝のロンドンのあるストリートを舞台に、文豪チャールズ・ディケンズ作品に繋がる序章的ドラマが繰り広げられます。
この登場人物は、あの作品のあの人だ!
と答え合わせをしながら観るのも楽しいですよ。
【11/22(水)夜8時スタート 】
ディケンジアン英BBC制作の大作ドラマ「ディケンジアン」を第1話から放送!ディケンズの小説の主人公たちが新しい物語を作り上げる未知なるミステリー!https://t.co/5kbH5FE76Z #AXNミステリー pic.twitter.com/5Jbqk8qzyy
— AXNミステリー (@AXNMystery) November 19, 2017
ディケンズファン必見の作品です。
このドラマを見終わったら…
【大いなる遺産】【クリスマスキャロル】【荒涼館】【オリバー・ツイスト】等々ディケンズ作品をご視聴されるとスッキリしますよ。
なぜなら…ディケンジアンに結末はないからです。
【ディケンジアン】あらすじ
雪の降るクリスマス・イブの朝。
アメリア・ハビシャムと腹違いの弟アーサーは父親の葬儀に出席していました。
アーサーは、葬儀に参列した弁護士のジャガーズに父親の遺言書を確認し直ぐにでも執行したいと強引に迫ります。
午後5時に話し合いをする事を渋々承諾したジャガーズとアメリア…
◊
同じストリートに休業中の骨董屋がありました。
孫娘が今にも死にそうな病状の為休業中の張り紙がしてあります。
その張り紙を見つめる金貸しのエベネザー・スクルージ。
彼は急いで“スクルージ・マーレイ商会”へ戻りビジネスパートナーのジェイコブ・マーレイに
「孫娘が死ぬ前に回収しろ」と指示を出します。
それを聞いた書記のボブ・クラチットは「孫娘の看病中に取り立てるんですか?イブに」と意見しますが、
「家族が病気だろうが普段通りだ」と冷徹に突き放しクラチットを黙らせてしまいます。
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街の窃盗団のボスのフェイギンは、マーレイからの伝言をメッセージボーイから受け取ります。
そして、仲間のビル・サイクスの元を訪れ娼婦のナンシーをマーレイの家へ送る話を持ち掛けます。
サイクスは、ナンシーに暴力を振るうマーレイを嫌い反対しますが、金の為だとフェイギンは耳を貸しません。
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マーレイは、骨董屋へ行き強引に借金を取り立てます。
孫娘が心配な骨董屋の主人は、苦しい資金繰りの中から借金の一部を返済しました。
マーレイはその足で、もう一件の取り立てにバーバリー家へ向かいます。
しかし、バーバリーは居留守を使い出て来ませんでした。
諦めたマーレーは帰って行きます。
バーバリーは繊維会社を営んでいましたが、投資に失敗し破産寸前の状況でした。
バーバリーは、妻に先立たれフランシスとオノリアという2人の娘と裕福に暮らしていました。
しかし、破綻寸前の会社の状況を心配する姉のフランシスは、妹のオノリアにも教えるべきだとバーバリーに忠告します。
しかし、特にオノリアを可愛がっているバーバリーは「クリスマスだ」と決してオノリアには教えませんでした。
フランシスは、陰気で堅物な性格でした。
明るく美人なオノリアに軍人の恋人がいる事を内心不快に感じていたのです。
◊
午後5時
アメリアとアーサーは、弁護士のジャガーズの事務所で父親からの遺言を聞いていました。
しかし、アーサーには醸造所の株10%と独り立ちするまでの生活費のみ…すべての資産は姉のアメリアに相続されたのです。
アーサーにはとても納得のいくものではありませんでした。
しかし、ジャガーズは「お父様のご遺志です」と引きません。
アーサーは、アメリアに辞退しろと迫ります。
アメリアは、帰って相談しようと諭しますが、アーサーは事務所を出て行ってしまいました。
しかし、アーサーの怒りは収まらず事務所から出て来たアメリアに襲いかかりました。
そこへ通りかかった男が助けに入ります。
アーサーを追い払いアメリアを家まで送った男は「コンペイソン」と名乗り去って行きました。
◊
複雑に絡み合う人間模様
そんなクリスマスイブの夜…マーレイの死体が発見されました。
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メインキャスト紹介
大いなる遺産
アメリア・ハビシャム:父親の遺産を相続した事で異母姉弟のアーサーから恨まれ不幸へと貶められてしまいます。その後、アメリアは世捨て人のように生きるようになってしまいます。
アーサー・ハビシャム:父親の遺産を受けられなかった事を逆恨みし、悪党のコンペイソンと手を組みアメリアに罠を仕掛けます。
メリウェザー・コンペイソン:アーサーに協力する振りをしてアメリアに近づき、ハビシャム家乗っ取りを企む悪党
ジャガーズ氏:ハビシャム家の顧問弁護士
クリスマスキャロル
ボブ・クラチット:スクルージ・マーレイ商会の書記。強欲で無慈悲な雇い主は彼を薄給で雇用している為、子沢山のクラチット家の生活は貧困で苦しんでいました。
エベネザー・スクルージ:高利貸しで金儲けをしている拝金主義者。無慈悲で容赦なく取り立てをします。
ジェイコブ・マーレー:スクルージのビジネスパートナーで悪党。
荒涼館(ブリーク ハウス)
バケット警部:マーレー殺害事件の担当警部。穏やかで優しい人柄だが犯人捜索に執念を燃やします。
オノリア・バーバリー:バーバリー家の次女。家が破産した為、望まない結婚を押し付けられます。
フランシス・バーバリー:バーバリー家の長女。家の為に尽くしてきたフランシスは、自由奔放で父に溺愛されるオノリアに内心嫉妬していました。
エドワード・バーバリー:繊維会社を営んでいたが投資に失敗し破綻してしまい、スクルージから厳しく取り立てられます。
オリバーツイスト
フェイギン:窃盗団のボスで孤児達を引き取りスリをさせるが、食事を与え寝床を提供する等子供達の保護もしていました。
ビル・サイクス:フェギンの仲間。街のギャング
ナンシー:フェギンの仲間。サイクスの恋人
バンブル夫妻:救貧院の院長夫妻。強欲で孤児達の養育には全く関心がなく、酷い環境下で子供達を生活させています。
オリバーツイスト:フェギンの隠し倉庫にいた孤児の1人。
勝手に私見考察
BBCの製作スタッフの底力を感じる作品でした。
ただでさえ複雑な人間模様のディケンズ作品。
よくもまあ、こんなに上手く登場人物達を絡めさせ、ビクトリア朝のロンドンに纏めたものです。
よりドロドロで陰湿な感じでしたが、個人的にはそんなイギリス作品が好きです。
階級社会のイギリスに生きる下層階級に焦点を当てたディケンズ。
しかし、彼の作品からも感じるのは…
お金~お金~とお金がない事がどんなに惨めなのかといった社会です。
いつも感じますが、日本やアメリカの作品には一発逆転的サクセスストーリーがあります。
しかし欧州作品では主人公が一発逆転する場合、必ずと言っていい程遺産が手に入った場合なのです。
お国柄でしょうか?
しかし、そんなイギリスの重厚で陰湿、ドロドロな人間模様を描いた作品が面白い。